爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「内田樹の研究室」より、「鬼滅の刃論」

内田樹さんのブログ「研究室」に書かれていた文章です。

その元の文が某大学の入学試験に使われたとかで、大学より連絡があったそうですが、調べてみたら「週刊金曜日」に書いたものだったそうで、ブログに採録したということです。

blog.tatsuru.com

 

私はこの漫画については多くの報道を目にしたものの、実際に掲載されたものを見たこともありませんし、あらすじもほとんど分かっていませんでした。

 

週刊金曜日からこの漫画のヒットについて書いてくれという依頼が来て、その読者層を考えて書き方を決めたそうです。

おそらく漫画自体を読んで楽しむ層ではなく、それを話題にするだけの年長層が読むだろうから、この漫画がヒットした背景などを描くということになりました。

 

漫画のあらすじや背景の説明から入ったのも、この文章を読む人たちはまず細かくは知っているわけではないからだそうですが、私にも参考になります。

ゾンビのような存在の鬼が世間に溢れ、鬼に嚙まれると鬼になってしまう。

主人公も家族が鬼に殺され鬼退治を志すというものですが、これは「コロナ」にそっくりだということです。

ただし、この作品の発表はコロナ禍よりははるかに以前ですので、実際のコロナ禍を描いたはずもないのですが、作品は現実を先取りするということはよくあることのようです。

 

作品に多く登場するものが「混淆」または「ハイブリッド」だということで、登場人物の背景などにもハイブリッドが多く現れてきます。

主人公の妹という存在も、主人公たちから守られる立場でありながら鬼に噛まれているので鬼の血が混じっている。

また主人公の仲間となる「医療人」たちの中にも「元・鬼」という人々も居るということで、完全なる「善玉・悪玉」というものは現れず少しずつ両者の性質を備えるものだとか。

そして、このような「病と癒し」というものがこの作品の主題だったということです。

 

だからと言って、この漫画を読んでみようなどと言う気にはほとんどなれませんが。