アメリカでは「1%対99%」ということが言われてきました。
つまり1%の富裕層が富のほとんどを独占し、99%のその他大勢はどんどん貧困化していくということで、格差の拡大を表しています。
しかし、実際には1%どころか0.1%、いや0.01%のほんの少数の人々がすべてを独占しつつあるようです。
この本ではその0.01%の富裕層が何をどうやってアメリカのすべて(そして世界のすべて)を独占できるようになったのかを解説していきます。
そちらの方に力点が置かれているために、残りの大多数の窮状などはあまり触れていません。
そういう観点の本でしたら他にたくさんありそうですので、そちらを探した方が良いかもしれません。
こういった超富裕層というものを生み出してきたのは、主に「強欲資本主義」を言われる金融業界、そして「シリコンバレーの錬金術師」と表されているIT業界です。
彼らがどういう具合に力を付け、社会を支配するようになったか、そして今後何をするのかということを極めて具体的に実例をあげて紹介しています
腹立たしく、また恐ろしいことばかりですので、細かくは紹介しませんがこれが現状と近未来の世界なのでしょう。
こういった「勝ち組」に入り込むということは平民にはほとんど不可能ですが、それを何とか求めようと有名大学などに潜り込んでのし上がろうとする人は多数に上ります。
しかし、そのためには超高額の授業料などを必要とするエリート校に入らなければいけません。
スタンフォード大学を卒業しようとするなら、授業料だけでなく様々な費用まで合わせると4年間で3000万円以上かかるようです。
それが簡単に出せる階層のみがそこに入ることができると言えるのですが、もしも中産階級などからそれを目指す場合には多額の借金をしなければなりません。
無理をして就学ローンなどで入っても、それに見合うような職に就ける可能性は極めて低く、結局はその借金で苦しむことになります。
この先の社会はますます情報化が進みそれがすべてを支配するようなものになっていくようです。
ロボット化も進行し、無くなってしまう職種というものが多数消えていきます。
多くの人の職がなくなるでしょう。
しかし、そこで反社会的な活動が起きるかというと政府の監視体制が強化されるためにそれも不可能となるという、まるで多くのSF小説で描かれているような社会になる危険性も大きいようです。
これからどうするか、ということも描かれていますが、あまり希望が持てるものではありません。
職種として重要性が増すのが「コンピュータ・セキュリティー・エキスパート」だということで、これから成長するような子供だったらその職を目指すのが良いかもしれません。
将来について、暗い見通ししかできないような思いになります。