「バーリ・トゥード」とはポルトガル語で「なんでもあり」を意味するそうで、ブラジルで流行していた格闘技の名前だそうです。
この本は言語学者の著者が、言語学についてユーモアたっぷりのエッセーを書くというもので、東大出版会の月刊冊子「UP」に連載されたものを16編合わせて単行本としたものです。
(なお、”UP”とは”アップ”ではなく、”University Press”の頭文字を取ったもので、”ユーピー”だそうです)
その内容は、副題となっている「AIは『絶対に押すなよ』を理解できるか」という章題からも想像できるように、芸能界やスポーツ界などの話題をふんだんに入れ込んで、その中で言語学上の命題を説明するような(説明していないようにも思える)ものとなっており、プロレスなどに詳しい人にはわかりやすい?ものとなっているのでしょうか。
(私はプロレスは全然知らないのでよく分かりません)
なお、「AIは『絶対に押すなよ』を理解できるか」というのはもちろん、あのダチョウ倶楽部の上島竜兵氏が熱湯風呂を前にして言うセリフで、「押して欲しいのに『押すな』という」ということであるのは明白です。
そこには「言語の意図」というものがあり、人間であればそれは「押してちょうだい」であることは常日頃の言動からすぐに分かるが、果たしてAIは?ということです。
他にも、「恋人はサンタクロース」
あのユーミンの超有名の曲ですが、この題名は本当は「恋人”が”サンタクロース」であるということは、誤解している人が多いのではないかと言うことです。
著者も前から「恋人はサンタクロース」であると思い込んでいました。
しかし、本当は「が」であった。
それがどういうことかということを説明しています。
なお、ついてながら例示されている嘉門達夫氏のパロディソングでは「恋人”は”サンコン」とされており、嘉門氏が意識的に「が」を「は」に替えたのかどうかは不明とか。
著者の発表する文章には「」(カギカッコ)が多いとよく指摘されるそうです。
文章でカギカッコを使うというのは、「話し言葉」を入れる場合はもちろんですが、他にも「文字通りではない特別な意味があるぞ」とほのめかしたい場合にも使います。
それが多いと、読む人によっては「ほのめかしが多すぎてウザい」と感じるそうです。
同じようなものに、「文章末尾に三点リーダー、すなわち「…」をつける」というものもあり、本人は語尾をぼかして「文字越しに表情を出したい」という思いで使うのですが、見る側からは「はっきり言え」と怒りたくなるというものです。
他にも「(笑)」や「爆笑」といった文字を文末につけたくなるという人も居て、気になる人は気になるようです。
私も「」はよく使う方です。
気にされる人も居るのかもしれません。
だけど、止めないもんね。