リスク学者永井孝志さんのブログのリスク論は非常に興味深いもので、毎回参考にさせていただいていますが、今回は少しリスクとは離れて「トンデモ科学」論です。
まだかなり大きな問題となっていますが、「反ワクチン論」というものがあります。
日本ではワクチン接種率がかなり高いようですが、欧米では打てる状況でも打たないという人がかなり居ますが、そこには「反ワクチン論」というものが存在します。
その内容には怪しいものも含まれており、それに対して「トンデモ科学」であるとして「反ワクチン論撲滅」ということに力を入れる人も出てきています。
永井さんはその両者に対して距離を置いた見方をしているようです。
「反ワクチン論」はデマであるというのが、ワクチン積極論者の人達の共通姿勢であるようですが、反ワクチン論者の人達も自らの方に正義があると思っています。
どちらも自分が正義であると感じながらの、「正義と正義の闘い」となっているわけです。
この「正義と正義」というのは危険なもので、正義のための闘いと感じると人は非常に強硬な態度をとるようになります。
それが双方にあればエスカレートせざるを得ません。
永井さんが「反ワクチン論撲滅派」に同意できない理由と言うのも書かれていますが、まず科学とトンデモ科学と言ってもその境界がそれほど明確なものではないということ、そして科学リテラシーが低いのがトンデモだという姿勢が上から目線であるということなどを挙げています。
反ワクチン論の中には確かにまったく科学とは相容れないようなものもありますが、そうではないものもあるのでしょう。
「科学的=絶対的に善いことではない」という指摘も忘れてはいけないことなのでしょう。
私もどうも科学至上主義的な傾向があるので、デマ的な反ワクチン論というのは忌避したいところですが、そうでもないものもありそうだという触感もあります。
それを無視してワクチン接種強制という動きを見せる国も多いようで、日本もかなりそれに近いでしょうか。
ワクチン接種率がある線を越えれば収束に近づくというのもそれほど科学的とは言えないような気もするのですが。