爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

結婚はリスクなのか、リスクを下げるのか、リスク学者永井孝志さんのブログより。

リスク学者永井孝志さんが書いているブログで、興味深いことが書かれていました。

「結婚とリスク・幸福」ということです。

 

結婚がリスクなのか、幸福なのか、あまりそういったことは考えたこともないので、意外な気もします。

 

nagaitakashi.net結婚も含め、こういった「人生における選択」に伴うリスクを「人生選択リスク」と呼ぶそうです。

 

記事も最初の部分はこの前までマスコミをにぎわせていた、「眞子さま結婚問題」から始まっています。

これなどを見れば、「結婚自体」が大きなリスクではないかとも思えます。

また、結婚に伴うリスクというものは、ネットの検索から拾っても非常に多数存在するようです。

 

しかし、さすがに永井さんはリスク学専門家であるだけに、興味は次のようなところに向けられます。

このような結婚リスクに関して、私の興味は以下の3つになります。
(1)結婚によって死亡リスクは低減するのか?
(2)結婚すると幸福になれるのか?
(3)人生選択に対する姿勢(積極的にリスクをとりにいけるか)の影響

 

多くのリスクについては、死亡リスクというものを考えるということが行われます。

結婚が死亡につながるのかと思うかもしれませんが、関わりはありそうです。

 

実は、未婚か既婚か、そして離別か死別かといった分類ごとに死亡年齢を集計することで、リスクとしての影響を見ることができます。

 

ある調査によれば、

死亡時年齢の中央値を比較すると、男性の場合は未婚で66歳・有配偶で81歳、女性の場合は未婚で82歳・有配偶で78歳となっています。

と、驚くほどの結果が出ています。

なんと男性は有配偶者より未婚者の死亡年齢がかなり低く、女性は逆にわずかながら未婚者の方が長生きするとか。

 

しかし、永井さんによればこれは他の要因を考えずにあまりにも大まかな集計方法であるということです。

こういった関係する他の要因を交絡要因と呼ぶのですが、たとえば未婚者という人たちの中には、体が弱いまたは病気がありそれで結婚しなかったという例も多いのでは。

さらに非常に肥満度が高くそれで結婚できなかった人が早死にするということもありそうです。

こういった交絡要因を調整した研究成果というものもあります。

 

それによれば、男性の死亡率は低い順に、既婚者、死別者、離婚者、未婚者、そして女性の場合は既婚者と死別者・離婚者はほぼ同水準で未婚者は死亡率が高いということになりました。

ただし、女性の場合の差は男性ほど開いていないそうです。

中々考えさせられる結果のようです。

 

心理的な調査で「満足度調査」というものもあります。

今の生活に満足しているかどうかということを聞いていくというものですが、これも結婚状態によって集計した調査というものもあるようです。

これでもやはり既婚者の方が未婚者より満足度が高いということですが、ただし結婚生活に不満があるという人の場合は満足度が急落するそうです。

 

 

結婚ばかりでなく、就職や進学、高額品の購入など、人生には選択しなければならない岐路と言うものがあり、それはリスクとも見ることができるものですが、そこにも個人ごとの性格というものが影響しています。

選択肢を多くし、その中からあれこれと吟味してから選択しなければ満足できないという人も居ますし、だいたいのところでOKという人も居ます。

選択後の満足度というのは、どうやら「だいたいでOK」派の方が高いようです。

何かを購入する際にあらゆる情報を吟味する人と適度でオーケー派がいますが、後者のほうが幸福度が高いようです。前者は比較が好きで、自分と他人を比較する傾向も強いからというのが理由として挙げられています。さらに前者はその決断に後悔することが多く、もし別の選択をしていたらということが気になってしまうようです。

 

「そこそこで満足するのが一番良い」というのは、まあそうだろうなとも思いますが、少しがっかりということでもあります。

 

いや、なかなか面白いこともリスク学では扱うようです。