爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「日本と世界の塩の図鑑」青山志穂著

塩が専売制から脱したのはもうかなり以前の話になりましたが、それからは世界各国から様々な塩が輸入され、国内でも特色のある塩を作り販売するという情勢になっています。

そのような塩について、基礎知識と様々な製品の紹介をソルトコーディネーターを名乗る青山さんが豊富な写真とともに解説しています。

 

現在、日本では4000種類以上の塩が販売されているそうです。

塩の製造といえば日本ではほとんどは海水からの製造ですが、世界的には岩塩の方が優勢のようです。

 

塩は製法から「海水塩」「岩塩」「湖塩」「地下塩水塩」などに分けられます。

日本固有の製法として「藻塩」もあり、現在でも製造されているようです。

 

海水を濃縮して結晶化する海水塩は、世界中の沿岸部で作られています。

海水の成分が地域によって若干異なりますが、それよりも製法によってニガリを除去する過程に違いがあり、それが味に大きな差を作り出します。

 

なお、ニガリ成分を多く残した塩を「ミネラルたっぷり」などと表示しているものがありますが、これは「ミネラル」の用法を間違えているという指摘は正確です。

「ミネラル」は無機質元素のことを呼ぶのですが、塩について使う場合は「ナトリウム」だけは除外して考えることが多いようで、「ナトリウム以外の無機元素、カリウムマグネシウム等々」を指すということが多いようですが、本来はナトリウムもミネラルの一つであり、どんな塩もナトリウムを含めれば「ミネラルたっぷり」であるのは当然です。

 

岩塩は地殻変動によって大地に閉じ込められた海水が長い間に水分を失って結晶化することによってできたもので、その形成過程によりナトリウム層、マグネシウムが多い層などに別れていることが多いようです。

しかし、ナトリウムを主成分とする層でも不純物としてイオウ、カリウム、酸化鉄などが含まれていることがあり、それが岩塩に色を付ける要因となっています。

(紫:イオウ、ピンク:酸化鉄、青:カリウム等)

岩塩の採取法として、乾式採鉱法と溶解抽出法とがあり、乾式では爆破や掘削により掘り起こすもので、これなら岩塩の色も残るのですが、溶解抽出法では地上から水を注入し塩を溶かして吸い上げるもので、色は失われます。

工業用の場合は溶解抽出法の方がコスト安になるようです。

 

日本での塩の製造場所も紹介されていますが、沿岸ではほぼ全国で製造されていることがわかります。