爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「脱炭素ブームの裏で石油会社がぼろ儲け」

週刊エコノミスト編集委員の金山隆一さんが書いた文章です。

gendai.ismedia.jp

欧米だけが世界だと思っている人たちには意外に感じることかもしれません。

 

アメリカもヨーロッパも中国も、自動車のEV化を進めると表明しており、日本が乗り遅れるのではと焦る思いがするのでしょうか。

 

しかし、そんな印象は数字を見れば一変するはずです。

最初に金山さんが挙げたのは「欧州の石油消費は世界の12%にすぎない」というものです。

しかも「世界の石油消費のうちガソリン車の占める割合は2割」でもあります。

ヨーロッパの車を全部EVに代えたところで、石油消費量にはあまり影響がないようです。

 

さらに新車をすべてEV化できたとしてもそれだけでは進みません。

その理由が「世界の自動車のストックは14億台」というものです。

それに対し、昨年世界中で製造されたEV車、ハイブリッド車まで加えてもわずか300万台。

これで本当に各国が言っているようなスケジュールで進むのでしょうか。

 

石油消費の大半はすでに新興国です。

彼らは欧米各国のように理想だけ(?)で脱炭素化などとは言いません。

「世界が脱化石に進もうと、これら新興国がコストの安い石油やディーゼルを使って経済成長を謳歌しようとすれば、2035年の世界の石油需要は増加する」

こう予測する人もいるようです。

 

記事中にもあるように、ニューヨーク原油先物WTIが75ドルとコロナ禍以前のレベルを回復ということですが、ニュースではさらに上昇が続いていると言われています。

本当に全世界が脱炭素化に向けて走り出しているなら、原油はもう将来性がなく価格も下落し続けるのではと思いそうなものですが、実際には経済復活に合わせて高騰する状況です。

 

どうやら、「世界中が脱炭素」などと言う作られたブーム感に乗ってしまうと大変なことになりそうです。