福岡工業大学というところで、アルミ加工工場などから生じるアルミの削りくずを使って水と反応させ「クリーンエネルギーとして期待される」水素を発生させるという研究?(ままごと?)をやっているそうです。
www.jc.fit.ac.jpこんなものがニュースで流れてご本人が一番恥ずかしいのではないかと思いますが、そうでもないのでしょうか。
おそらく「工業化」ということを一つも考えていないのでしょう。
アルミニウムは微粉末にすると水と反応し水素と酸化アルミニウムになるということは誰でも知っています。
だからと言って、いくら水素が欲しいとはいえ「アルミくずを微細粉末に加工し」「それを水と反応させ」「水素を捕集する」などということが工業的に成り立つはずもないことも常識以前のことでしょう。
まず、「アルミ削りくず」というものが日本全国で一日当たりどの程度生じるのか。
それでできる水素の量も決まってきますが、それほど大したものではないでしょう。
次に、アルミくずはかなり微細な粉末としなければ水とは反応しません。
それに必要なエネルギーは「クリーンエネルギーを使えばCO2排出は無い」などと言っていますが、どのような粉砕機を使うつもりか、膨大なエネルギーを必要とし、さらに工業的に成り立つ操業は非常に困難でしょう。
ごく微量の微細粉末アルミニウムを作るだけなら採算度外視で実施は可能ですが、大量に製造するのは難しいのでは。
ついでに申し添えますが、アルミ微粉末は非常に危険な物質であり、消防法上の危険物でもあります。
また水と激しく反応するということで禁水物質です。
そんなものを工業的に大量に製造するなどということは、レバノンの大爆発を思い起こさせます。
さらにこの反応で生成した酸化アルミニウムはどうするか。
これをまたアルミニウムに加工すればそれも使用できると思っているのかもしれませんが、それは永久機関に見せかけただけの膨大なエネルギーを吸い込むようなブラックホールです。
水素水素と世間が騒ぐとこういった話が出てきます。
中学や高校の化学の教科書を見て「水素発生反応」とでも出ているのを片っ端から試してみればニュースネタとして科学オンチのマスコミが取材してくれるかもしれません。
名前を売れば良いだけの研究機関の狙いはそこなんでしょう。