「リスクと共により良く生きるための基礎知識」で今回永井孝志さんが書かれていたのが、「リスク管理」と「リスクマネジメント」は違うのかということでした。
実はリスク学の用語で、「リスク管理」とは英語で「Risk Management」であり、同じのようですが。
永井さんの「リスク学」というものは、放射線の影響や、化学物質や食品の安全性といったものの危険性を評価するというところから発展してきました。
しかし、別の方向でリスクと言うものを扱ってきたところがあります。
保険などの業界で使われてきたもので、この「リスクマネジメント」という言葉もそちらでは英語のまま使われているようです。
こちらでは、リスクはマイナス面だけでなくプラスの面も考慮するということです。
よく言われているような「リスクを取って儲ける」というのと同じ発想なのでしょう。
リスク学ではリスクを取り扱う3段階があり、それぞれ「リスク評価」「リスク管理」「リスクコミュニケーション」であり、これらをまとめて「リスクガバナンス」と言います。
一方、保険の考え方から発展した企業や組織の考えるリスクでは、初めは同様に危険性や不祥事といったものを指していましたが、その後企業戦略や投機を考えるという意味でも考えられるようになりました。
これらをリスクマネジメントという言葉で表しているため、少々ずれが生じているようです。
リスク学で言うところのリスクガバナンス全体の概念に近いようです。
私もこちらの「リスク学」の考え方に近いものでしたので、企業戦略の方のリスクには思いが至りませんでした。
気を付けなければいけないところでしょう。