しばらく休館していた八代市立博物館「未来の森」がようやく再開し、「松井家の茶道具名品選」というものを展示していました。
松井家というのは、肥後細川藩の筆頭家老で代々八代城主を勤めた家で、そこに伝わる文書や品物を保存した松井文庫は数々の貴重な文物が収蔵されていることで知られています。
今回はその中から茶道具の展示でした。
なかなか貴重なものばかりということが、素人でも分かります。
焼き物は当地で盛んに焼かれた八代焼のものが多いのですが、初期のものは唐物や高麗焼のものも含まれています。
松井家初代の松井康之(1550-1612)は細川藤孝に仕え数々の功績をあげて家老となりました。
細川忠興とともに千利休に茶の湯の指導を受け、高弟として知られています。
また古田織部などの高名な茶人との交流もあり、今回の出展品の中の南蛮耳付水指は箱書きから織部から康之に贈られたものだということが分かります。
この箱の実物は出展されていませんが、写真があり、「松佐州様参る、織部」と記されています。
松佐州とは、康之が佐渡守を名乗っていたことからの呼び名です。
その後の松井家歴代も茶の湯に親しんでいたのですが、特に今回出展の品々は初期の貴重なものであり、大切に保管されてきたものと思います。
この展示は9月初めまでの長期間実施されますので、興味のある方はどうぞ。
と言ってもこっちまで来るのはかなり難しいか。