「オリンピックは中止すべき」の調査結果は正しくない。統計はウソをつく
こういった題名の記事がBLOGOSに出ていました。
著者はメディア論の大学教授、新井克也さん。
世論調査の手法としてよく用いられるアンケート調査では、その設問の作り方などでまったく違った結果を出せるということは良く知られています。
これは、もしかしたらアンケート設問の誘導で「オリンピック中止論」が過大な数値に導かれたという内容かと思って記事を読んでみたら、全然違った。
記事内容をざっとまとめると「設問の作り方に難があり、”中止すべき”はもっと高くなる可能性があった」ということです。
つまり、この記事の表題「オリンピックは中止すべきの調査結果は正しくない」という文章から受ける印象とは全く逆の内容です。
もしかしたら、新井さんが書いた記事に別人が表題だけを付けたのではないでしょうか。
新井さんの書かれた内容は次の通り。
質問の設定として、「開催するべきか、止めるべきか」の二択であるべきところ、「中止するか」「観客を入れずに開催」「観客を入れて開催」の三択にしたのは、回答者にとって「開催」の方に意識が向きやすく、開催の方が高くなる。
これを「キャリーオーバー効果」と呼ぶそうです。
これをより正確にするためには、まず「開催するか」「中止するか」を尋ね、そのあとで「開催するなら観客を入れるか、無観客とするか」を尋ねるという二段階にする必要があるということです。
なお、「中止する」の方でも実は「開催をキャンセルする」と「来年以降に延期する」の区別がなければ回答者の正確な意識の調査にはならないということです。
さらに、このアンケートの不備な点は「わからない」の選択肢がないこと。
そして、このような調査を実施し公表したのが読売新聞と共同通信という大手メディアですが、どちらも同じような誤りを犯しているということを、新井さんは問題視しています。
という内容の記事で、オリンピック開催というものの世論調査を取り上げてはいますが、主題は世論調査を実施する上での手法、実施主体が世論誘導をする危険性といったものでした。
しかし、この文章を読む限りでは「オリンピックを中止するという意見が59%というのは過少に誘導された可能性がある」と言っているのであり、記事表題は逆の意味が強調されているようです。
まあ、どうしてもオリンピックをやりたい立場の人が書いたのでしょう。