爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「O・ヘンリー短編集」O・ヘンリー著、大久保博訳

O・ヘンリーは本名がウィリアム・シドニー・ボークー、19世紀末から20世紀にかけて短編小説を発表したアメリカの作家です。

 

その当時は新聞や雑誌に発表される短編小説というものが人気を集めており、O・ヘンリーはその作品が読者に愛されていました。

 

本短編集は、O・ヘンリーの作品の中から訳者の英文学者大久保さんが選んで翻訳をしたものです。

アメリカでもO・ヘンリーの発表作品を収集した短編集はいくつも出版されていますが、どれを選ぶかということは編者の考えや趣味もあるようです。

 

O・ヘンリーはノースカロライナで生まれ、20代か30代前半をテキサスで、30代後半をオハイオの刑務所で、そして40代をニューヨークで過ごし、47歳で亡くなりました。

小説の多くを発表したのは40代になってからで、内容もニューヨークに関するものが多いようです。

この短編集でもニューヨークが舞台のものが多いのですが、早い時期に書かれたものはそれまで住んでいたテキサスなどのものもあるようです。

 

これらの作品の中でも「最後の一葉(The Last Leaf)」と「賢者たちの贈り物(The Gift of the Magi)」は内容も含めてかなり有名なものでしょう。

しかし、それほど知られていないものでも「二十年後」や「お好み料理の春」など、しみじみと色々な感慨を感じさせるものもあり、興味深いものです。

 

舞台はもう100年以上も前のアメリカで、現在とは大きく違うものばかりなのですが、人の心と言うものはさほど変わりも無いものだと思わせます。