この時期は阿蘇周辺で「野焼き」を行うとあって、熊本のローカルニュースでも何度も報道されています。
ただし、そこで使われている言葉でどうしても看過できないのが「自然を守る」ということです。
「阿蘇の自然」というものがどういうものか、その認識に間違いがありそうです。
阿蘇では千年以上にわたって草原が維持されそこで牛などの放牧をするという生活(文化)が守られてきました。
それは、確かにこの地域の貴重な文化ではありますが、「自然」そのものではありません。
いや、「自然」そのものとはまったく逆の「人工」であると言えます。
野焼きをせずに放置しておけばどうなるか、「荒廃して」灌木が生えてくるようになり、やがて森林になってしまうと言われています。
しかし、阿蘇山上など九州の山地の植生は「夏緑広葉樹林帯」であるとされています。
つまり、自然のまま経過すれば広葉樹林となるわけです。
それを野焼きで草原のままとどめておくのは、あくまでも「放牧文化」を守るためのものです。
これを意味がないとは思いませんし、輸入牛肉が安いからと言って牛馬の放牧を放棄するのも間違っていると思います。
しかし、これは「自然そのもの」ではないということも忘れてほしくないものです。
この時期、どうしてもローカルニュースではこの野焼きの光景が流れています。
そのたびに、「自然を守る」というコメントがつくのにいらいらする今日この頃です。