爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

表題だけは立派なんですけどね、「化石燃料社会から脱炭素社会へ」

NewSphereというサイトで、和田眞さんという経歴は見事な方が表記のような記事を書かれています。

newsphere.jp和田さんは有機合成化学がご専門で、徳島大学名誉教授という方です。

 

現代文明が化石燃料に依存している社会であり、これはいずれ大幅に変化させなければならないということは、私も繰り返し主張していることです。

 

ただし、私はそれをエネルギーへの過度の依存を絶つことで成し遂げるべきとしているのに対し、この記事のような立場の人々(専門家、一般人を含めてほとんど)は再生エネルギーとやらに代替させることで、現在のエネルギー依存社会はそのまま維持できるかのように考えているようです。

 

 本記事中では、これらの化石燃料偏重が二酸化炭素の排出を増加させ温暖化から気候変動に至るという前提の下、「したがって化石燃料社会から脱炭素社会へ」変換することが絶対に必要という話の進め方をしています。

まあ、その点については現時点では仕方ないものと諦めておきましょう。

 

そして、そのための施策として政府の進める14重点分野の説明に移ります。

洋上風力発電から燃料アンモニア、水素、さらに原子力発電も入れ込んでいるという、何でもありのものですが、まあこれも体制側学者の立場上いちおう「本当に実現可能か」などと言う文言も挟み込まれていますが、疑問を呈すという場面は無いようです。

 

その中でも、洋上風力発電、再生エネルギー(だから再生なんてしてないでしょ)、蓄電池自動車などについて詳説をしています。

 

まあ「再生エネルギーの利用拡大」とか「ガソリン車さようなら」などという表題だけ見ても内容は分かりますが。

 

その道で仕事をしてきた学者さんたちの一番の弱点はおそらく「他分野の批判をしない」ことでしょう。

あまりにも各学問分野の専門性が高くなりすぎているために、ほんの少し外れた分野からでもまったく批判ができなくなっているという面もあります。

しかし、それ以上に「同じ土俵で議論ができない」という欠点が強すぎるのでは。

 

それで役立つかもしれないのが、この前提唱した「公正な立場でEPR(エネルギー収支)を議論すること」です。

sohujojo.hatenablog.comこれが今なによりも重要なことではないでしょうか。

 

そして、よく見られる言い訳「技術開発が進めば実用化可能」というものも、どの程度の効率向上が必要かということを議論していけば、その困難さもよく分かります。

「一桁、二桁向上すれば」などと言う愚論を許してはいけません。

 

以上のように、今回取り上げた記事の表題「化石燃料社会から脱炭素社会へ」という、題だけはまったく間違いはありません。

しかし、その手段を間違えると泥沼に入り込むだけでしょう。