爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「起業 失敗の法則」鈴木健介著

大きな会社に勤めるのでは自分の可能性が活かせないということか、起業というものが注目されています。

若い人でも起業して会社を始めたということがニュースにも取り上げられることもあります。

しかし世の中それほど甘いものではないようです。

本書著者の鈴木さんは自らも起業を経験し、その後アドバイザーとして起業についての講演もしていく中で、「起業後3年経って残っているのは2割弱」ということに気づきます。

やはり起業しましたというだけでは仕方ありません。

何年も続けて仕事をしていくようにするためにはどうしたらよいか。

起業の最初からそれを心して始めることが必要なようです。

 

起業の成功談を書いた本はけっこう出回っています。

しかし、そんなものをいくら読んだところでほとんど参考にもなりません。

それよりも「起業の失敗談」を読んだ方がはるかにためになるのですが、そういった本はあまり出ていないようです。

そこに着目して書かれたという本です。

 

まず強調されているのは「やりたいことで起業するな」ということです。

独立して会社を興そうという人はどうしても「やりたいこと」をやろうとしがちです。

しかしそのような自分の夢を追及しても客がつかなければ早々と潰れるということになります。

それも「客を探す」のではありません。

「客のいるビジネスを探す」という心構えが必要です。

 

事業資金は十分に用意できれば良いのですが、やはり借り入れをしなければならないことが多いでしょう。

しかしその保証人に家族や友人を立てるというのは絶対に避けるべきです。

万が一うまく行かなかった場合にそれらの人に大きな迷惑をかけることになります。

しかも、一度誰かに保証人になってもらい金融機関から借り入れを行うと、返済が終了しても再度借り入れする場合に同じように保証人を求められることになります。

ここで保証人を変えるというわけにも行かず、結局危ない状況のままということになってしまいます。

現在は国や地方自治体の支援もあるので、自己資金にそういった公的支援を合わせた範囲で行うようにしたいものです。

 

起業にあたっては3年程度の見込みの事業計画書を作成する必要があります。

これを使って出資者や金融機関の協力を得ることになりますが、これには表と裏の計画書を持つべきです。

出資者や金融機関、役所向けの計画書にはやはり少しはバラ色の想定を入れなければなかなか説得もできません。

しかし、自分用の計画書は厳しく見たギリギリのものを作っておくべきです。

 

なお、直接の話の筋とは関係ありませんが、著者が引いた例で面白いものがありました。

「きく」という言葉を使っていてもその内容には数種類あります。

1,聞く(hear) 2,聴く(listen)3,訊く(question or query)4,尋く(inquire or ask)だそうです。

1の聞くはそれほど集中することなくリラックスして「きく」

2の聴くは誰かの話や何かの音に神経を集中させて「きく」

3の訊くは話す意志がない相手に対して半ば強制的に聞き出そうとして「きく」

4の尋くはわからないことがある時に教えてもらうために「きく」

ということです。

漢字(ということは中国語)と英語では細かく言い分けているのが大和言葉では「きく」一つだけということでしょう。

それだけ原始的な段階で留まったということでしょうか。

 

起業が流行りだからといって飛びつくとえらいことになりそうです。

 

起業 失敗の法則

起業 失敗の法則