内田樹さんが白井聡さんと対談した内容を収録した本「日本戦後史論」の文庫版が出版されたそうですが、その「あとがき」を「研究室」に収録しました。
この本は5年前に出版されたのですが、5年経って文庫化されたにも関わらず、内容は現在でも十分に通用するものであるということです。
その理由として考えられるのは「5年経っても日本の政治状況は全然変わっていない」か「対談していた内容が日本の”痼疾”についてのものであり、それは簡単には変わらない」からという2つのことです。
そして、その2つともに当たっているからだそうです。
5年前にはあの安倍内閣の全盛時ですが、現在でもその安倍政治を継承すると公言している菅内閣であり、その「独裁、ネポティズム、対米従属、新自由主義、反知性主義という政権の「後進国的」体質」はまったく変化がありません。
特に反知性主義的な傾向は強まるばかりです。
「反知性主義的」というのは別に頭が悪いとか無知であるということを示しません。
実際に非常にスマートで博識な反知性主義者というのも珍しくありません。
それでは「反知性主義」とは何かというと、「 反知性主義というのは「他人から知的に誠実な人だと思われるために努力する気がない」という心的傾向のことです。それだけです。」と表現しています。
そして、知性的と科学的というものは共通するものを持っています。
その基本的な姿勢は
一番際立った特徴は「論拠を示して説得されれば、素直に誤りを認めて、自説を撤回する」ことです。
この「自説を撤回することができる能力」というものが大事なところなのでしょう。
ここでカール・ポパーの議論が紹介されています。
反証可能性や科学的客観性の定義など、基本的な科学哲学について書かれているようです。
これは何とか読まなければ。
第二の仮説、すなわち「日本の痼疾」というもの、これは相次いで起きた政治上の事件が起きた背景には日本社会の構造が影響しているということですが、これもそう簡単には変わりようが無いということでしょう。
文庫になったということだし、たまには金を出して本屋で買いますか。