ギリシャ神話の数々の話は断片的には知られているでしょうが、その多くをまとめてみたことがあるという人はあまりいないかもしれません。
ヘラクレスの冒険をはじめ、ペルセウス、アルゴー戦、パリスの審判といったもの、そしてオリンポスの神々それぞれについての挿話。
あちこちでその話が引用されることもあり、まあ知っておいて損はないものでしょうか。
なお、この本の著者の山室静さんは、北欧神話など北ヨーロッパが専門であった人です。
本書ではそちらの方が「付」と付け足しのように扱われていますが、書き方の勢いから見ても北欧神話に力が入っているのは分かります。
本書は昭和38年に初版発行、おそらくギリシャ神話はともかく北欧神話というものはそれほど日本では知られていなかったのではないでしょうか。
私もそちらの話はほとんど初耳でした。
アスガルドや、神々の名前(オーディン、トール、フレイヤなど)は少し耳に残っていてもどういった話かということは未知のものだったように思います。
その後、他の本も読んでいくに従い、北欧神話といっても同じルーツのものがドイツやイギリスなどにも残存していたものの、キリスト教が広まるにつれ忘れられていったということも分かってきましたが、やはり人々の心の奥にはその名残が隠れているのかもしれません。
それにしても、やはり神さまはたくさん居た方が面白い。