著者の小原さんは、伊藤忠ファッションシステムという企業戦略や商品企画といった分野でのコンサルティングを行う会社で、女性の消費行動を分析するという活動を行ないその成果をまとめたということです。
いくつかの視点から分析をしているのですが、やはり大きいのはバブルの時代に何歳だったか、そして就職していたか否かということです。
すでに就職していた世代を「プレバブル世代」、それ以下を「ポストバブル世代」と分けて考えると、その価値観や消費態度に大きな差が見いだせるようです。
さらに、日本社会の動きによってどうしても「世代差」というものができてくるので、上からキネマ世代、団塊世代、DC洗礼世代、ハナコ世代、ばなな世代、団塊ジュニア世代、プリクラ世代、ハナコジュニア世代と分類し、その消費性向を詳しく分類しました。
また、やはりどの世代であっても個人の性格から来る違いも無視できないとして、「ほどほど良妻賢母」「ちゃっかり八方美人」「自然体良識人」「成果追求ウーマン」「つまみ食いミーハー女子」の5種に類型化し、その生活スタイル消費性向を分析しています。
それぞれの詳しい説明は省略しますが、世代論も非常に細かく分けての解析であり、相当なサンプル量をこなしたことが想像できます。
あまり多くなるとその解釈も難しかったのではとも思いますが、きれいにまとめてあるという感想を持ちました。
たとえば、私の属する世代は「DC洗礼世代」だそうです。
1952年から1958年までの生まれで、50才から56歳。
(この本は2008年出版ですので、今から12年前の数字です)
普通言われている世代論では、団塊世代の下の「シラケ世代」などと言われることが多いのですが、この本では女性ファッションに焦点を当てていますので「DC洗礼」となっています。
その生活スタイルは、夫の実家側に近接居住または同居、大半は専業主婦だが小遣いが欲しくてパートに出ている、子供が社会人になり始め、夫はリタイア間近だそうです。
まあ、うまく言い当てているという感じですか。
バブルに関しては、あまり書いてあることに心当たりがありません。
ちょうどバブル最盛期には子供が生まれてすぐでしたので、金回りが良いという感覚もあまりありませんでした。
なお、最後の5種の性格分類を、この世代論とどう結ぶのかと思ったら、各性格と世代ごとの存在比を結びつけるという巧妙な方法で処理していました。
たとえば「つまみ食いミーハー女子」はバブル最盛期にちょうど女子大生や新人社員であった「ハナコ世代」「ばなな世代」が多いとか、「自然体良識人」には年齢経験を重ねた「団塊世代」「DC洗礼世代」が多いといった解析を加えています。
このような解析結果を見て、さて商品開発ができるものでしょうか。
そこが一番気になるところです。