爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「いい歯医者、悪い歯医者の見分け方」丸橋賢著

日本の現在の歯科医療体制はまったく間違っているとして、独自の歯科医療を進めている丸橋賢さんが、歯医者について概要を書いている本です。

 

歯科医療も健康保険で多くは賄われていますが、その設定がまったく誤っていると指摘されています。

丁寧な仕事で根本的な治療を施すことが必要なのに、それを反映させられる料金体系にはなっておらず、また歯の奥の細かいところなどは簡単には知ることができないために、いい加減な手抜き治療でさっと終わらせるような歯科医が横行しています。

 

また、そのような歯科業界の状況であるために、優秀な志望者が離れてしまい、多くが開業医となる全国の私立歯科大は入学時の受験偏差値が40程度と言う、かなり低い値となっています。

もちろん、学力だけで良い医者か悪い医者かということは決められませんが、いくら誠意がある治療を目指す医者でもあちこちに知識の不足が現れればよい医者にはなりにくいと言えるでしょう。

 

虫歯の治療では、「根管治療」という歯の根元の処置が大切になってきます。

虫歯治療の最初には「神経を抜く」ということをします。

これは痛みを取るということの必要性もさることながら、いったん細菌が入り込んだ歯の奥のこの部位を放っておくといつまでたっても悪くなる一方であり、この部分の腐食した組織を削って充填剤をしっかりと詰めることが必要です。

しかし、ここで手抜きをする歯医者が多いようで、著者の歯科病院を訪れる患者には他の歯科医で治療をされても良くならなかった人が多いのですが、その治療状況を見るとそのような粗悪な治療の跡がありありと分かるそうです。

 

レントゲンを撮っても、充填剤が半分以下しか詰められていなかったりといった手抜き治療の証拠がはっきりと残っています。

 

ただし、このような根管治療は歯科医療の保険体制では重視されておらず、ごくわずかな保険点数しか算定されておらず、いくらしっかりとやっても収入はほとんど増えないようになっているそうです。

 

 

インプラント治療も最近では急激に増えていますが、これをしっかりと教育する体制はまだ大学にはありません。

インプラントのメーカーが開く勉強会でちょこっと教えられた程度の知識で始めてしまう歯科医が多いそうです。

インプラントは歯の奥の骨に埋め込んでそこに歯を付けていくということになりますので、骨格全体に影響が出ますがそれをしっかりと考えている歯科医はごくわずかとか。

そのため、いったん付けたインプラントが骨が溶けてしまい脱落ということも起きてしまいます。

歯科医にとって儲けはすごいために虫歯を治療しに行ったつもりがインプラントをすすめられるということも多いようです。

 

「良い歯医者の見分け方」という項目もありますが、この本を読むと歯医者にかかるのが怖くなります。