夫婦・恋人、親子など最も親しいはずの関係でも「相手を嫌い」という人がいます。
そして、嫌いなら別れればよいのにそれができない人が多いようです。
そこには、相手に依存しながら相手に失望し、そのために嫌いになってしまっても別れることは考えられないという関係があるようです。
このような心理はそれほど珍しいことではなく多くの人々の中にあるようです。
それを、心理学を長く研究し人生相談などでも多くの事例を扱ってきた加藤さんが分かりやすく記述しています。
依存心と敵意というものは分かれがたく関連しています。
誰かに依存するということは、相手を支配したいということでもあります。
赤ん坊は自分の母親に完全に依存していますが、同時に母親を支配しようとします。
自分の思うようにならなければ泣いて騒ぎ母親に対処を強制します。
思春期の男子も母親を「くそ婆」などと言いながら母親に依存しています。
そして、もしも思い通りにならないままであれば相手を憎悪するに至ります。
恋愛関係でもその始まりが間違っていることが多いようです。
愛から生まれる関係か、それとも依存心から生まれる関係か。
必ずしも愛しているから恋愛関係になるとは限らず、「孤独に耐えられないから、一緒に居たいから」出来上がる関係もあります。
そういった女性は相手が浮気を繰り返しても別れることができません。
「あなたさえ幸せならそれでいいの」というセリフはよく聞かれるものですが、それは恋愛ではなく、相手を失い別れることを恐れているだけなのかもしれません。
親子関係でも、倒錯した関係性があります。
親が心理的に幼児であるという人も増えています。
親が幼児ならどうなるか、その人は母親を必要とします。
実際に近くに本当の母親がいれば良いのかもしれませんが、そうでなければ自分の子どもを母親代わりにしてしまう場合もあります。
その親は子供に愛されることを求めます。
これは親子の「役割逆転」です。
そして、子供が十分に自分を愛していると感じられなければその親は子供を憎むようになります。
こうして躾と言う名の子どもいじめを繰り返す親が出来上がってしまいます。
どうやら、何かに依存するという心理が多くの問題を引き起こしているようです。
アルコールや麻薬に依存したら中毒になりますが、その相手が配偶者や子供であれば人間関係が壊れていくということなのでしょう。