爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

トランプの押し売りトウモロコシの理由に使われた害虫が本当に流行のきざし

昨年のトランプ訪日の際にアメリカ産トウモロコシの大量な押し売り(その後希望業者がほとんど現れず単なる宣伝に終わりそう)が行われましたが、その際に理由付けに使われたトウモロコシの害虫が本当に流行しそうということです。

www.foocom.netFOOCOM.NET専門家コラムで、白井洋一さんが紹介していますが、「ヨトウガ」の一種で「ツマジロクサヨトウ」という害虫が昨年7月にはじめて鹿児島県のトウモロコシ畑で見つかり、それが全国に広がっているそうです。

 

この蛾は幼虫が大発生して多種の作物を食い荒らすというものですが、日本では飼料用トウモロコシ、生食用スイートコーンに限られているそうです。

これは、特に飼料用トウモロコシでは農薬散布ということはほとんど行われていないのも理由になりそうです。

 

ツマジロクサヨトウはもともとはアメリカの害虫ですが、非常に飛翔力が強くその後アフリカで蔓延しさらにインド中国と広がっています。

ただし、耐寒性が低いために日本では冬越しはできなかったそうです。

 

しかし、この発見を政府が発表したのが昨年7月3日、そしてトランプとの会談でトウモロコシ大量受け入れを発表したのが8月25日ですから、そこで害虫発生を理由にしたのはまったく意味のないことでした。

 

しかも、日本での飼料用トウモロコシの使用は、トウモロコシの実を取って家畜に与えるのではなく、青刈りして実と葉茎をそのまま与えるものですから、その代替としてアメリカ産トウモロコシを使うことはできません。

肉質が完全に違うものとなるので、そもそも使用目的も異なります。

 

そのように完全な取ってつけた口実に過ぎなかったのですが、その後の経過も日本の畜産業界からは無視に等しい対応で米産トウモロコシは宙に浮いているようです。

その後の新聞報道がまとめてありました。

 

・朝日(8月27日)  米産トウモロコシ大量輸入 害虫被害が理由 菅官房長官説明

日本農業新聞(8月27日) トウモロコシ275万トン追加輸入

・毎日(8月27日) トウモロコシ購入約束 トランプ流に振り回され

・毎日(8月28日) 米トウモロコシ購入 企業困惑 「害虫対策」首相説明に疑問

・JA新聞(9月3日) 米国産トウモロコシ 275万トンの保管料を支援 吉川農水相「あくまで被害対策の一環、米国で余っているから実施しているのではない」

・東京(9月23日) 米中摩擦で余ったトウモロコシ肩代わり 日本企業購入予定ゼロ「米国産は国内産と用途異なる、蛾の幼虫による被害は限定的」

・毎日(10月12日) 安倍首相「害虫の被害対策の一環で、民間企業が購入するもの。米国と約束や合意した事実はない」衆院予算委質疑で

・毎日(11月7日) 宙に浮く米産トウモロコシ 国内業者「用途異なる」購入支援策 申請ゼロ件

・毎日(12月28日) 募集3カ月 初の申請 米産トウモロコシ「農水相会見で 業者名や数量は明らかにせず」

 トランプの押し売りの実態、その後の安倍のいつもの嘘つき答弁など、分かりやすい事例となっています。

 

ただし、今回この害虫の広がりが確認されたことで、他の作物への影響も心配されます。

注視が必要でしょう。