世界的に「異常気象」が増え、人類はその危機にさらされていると言われています。
またそれが「温暖化」の影響であり、さらに「温暖化」は「二酸化炭素濃度の上昇」によるということも、多くの人々が真理かのように考えています。
しかし、「異常でなかった時代」というのはいつのことでしょう。
その頃の気象は本当に異常ではなかったのでしょうか。
まず、「異常気象」の定義とはなんでしょう。
このWikipedia情報によれば、
日本の気象庁では「過去30年間の気候に対して著しい偏りを示した天候」であるそうです。
また、世界気象機関では「平均気温や降水量が平年より著しく偏り、その偏差が25年以上に1回しか起こらない程度の大きさの現象」としています。
どうやら、この25年から30年程度の気候と大きく外れた場合には「異常気象」と言っているようです。
最近大きな台風が特に関東地方などを襲うということが増えているのも、「異常気象」感を感じさせているのでしょうが、そこで引き合いに出されているのは「狩野川台風」や「キャサリン台風」、「洞爺丸台風」「伊勢湾台風」などであることを、不思議には感じないでしょうか。
これらの台風は昭和20年代から30年代にかけて、つまり60年から70年以上前に日本を襲い、大きな被害を出しました。
その当時は、ダム建設や河川の堤防が不備があったので大きな被害となったのでしょうか。
そういう一面もあるでしょうが、実際はその台風の大きさは今日の「異常な台風」と比べてもかなり大きかったものでした。
昭和33年(1958年)の狩野川台風は、南方海上で当時世界最低気圧と言われた877ミリバールまで低下しました。
日本接近時には「相当弱まって」930ミリバール程度までは上昇したようです。
しかし、おりから停滞していた前線を刺激し各地で豪雨を降らせて多くの犠牲者を出しました。
昭和29年(1954年)の洞爺丸台風は、気圧こそ北海道接近時で960ミリバールと高いものの、ものすごい暴風をもたらし、室蘭で最大瞬間風速55mという記録を出しました。
観測体制が不備であったため、青函連絡船が出港してしまい、洞爺丸が暴風で沈没し犠牲者が1139人という大惨事になりました。
この当時は、まだ自動車もほとんど普及せず、火力発電所も少なくとても「温暖化」していたはずもありません。
それでもこういったとんでもない勢力の台風が来襲していました。
それと比べると、ここ30年の特に東日本は「異常なまでに静謐であった」と言えるのではないでしょうか。
(なお、西南日本にはこの時期にも変わらずに大型台風が来襲していますが)
それが、かつてのような状況を取り戻しただけのように見えます。
気候というものがどのような歴史的経緯をたどっているか、その正確なところはまだ解明されているとは言えず、研究者たちの努力が続いています。
しかし、第4紀と言われるおよそ260万年前から今までの気候は「第4紀氷河時代」と言われるように、氷河時代と分類されます。
そして、その中でもやや暖かい間氷期と、氷河の面積が広がる氷河期が繰り返されています。
近い所ではおよそ2万年前から1万5千年前までのヴュルム氷期が終わった後、現在の最終間氷期が始まり、その高温期の最中にあります。
ただし、その間にも小さな温暖化、寒冷化が繰り返し起きており、それが人間社会の変化と関わっています。
どうやら「異常気象」と言われている時期の方が地球の気候としては「普通」であり、現在の人類の感覚でいう「普通の気候」の方が「異常なほど」のようです。
まあ、そういうことを知っていれば、それほど驚かずに、過度に恐れることもないのかも知れません。