去年読んだ本ですが、再読です。
そして、その中のある図が非常に面白かったので紹介します。
第6章、運命のさじ加減 ヨーロッパの石器文化
という中で、気候と人類の生活環境について書かれているものですが、そこに下記のような図が掲載されていました。
この図は著者が独自に作成したものか、どこか別の研究者の作ったものかは判然としませんが、引用元の記載はありませんので、著者の作かと思います。
こういった、気温の歴史的変動というものは難しいもので、ちょっとしたデータの取扱でイメージがかなり異なるものができてしまいます。
たとえば、この図の横軸をさらに古い時代まで伸ばしていくと、このような鋸歯状のものが何度も繰り返されていることが分かります。
また、この図の右端の一部だけを切り取って、約2万年前くらいから現在までの経過のみを強調すると「過去2万年でもっとも高温」といった、温暖化論者の言い分を証明するような図も作れます。
そういった高温化の図は誰でもどこかで見たことがあるはずです。
しかし、その実際はこのようなもののごく一部を恣意的に切り取ったものだということが明らかです。
しかし、この図を見ればわかるように、その前にも短い高温期と長い低温期が繰り返しやってきて、その高温と低温の温度差は実に10度近くもあるということが歴然としています。
そして、現在までの1万年ほどは、異例なほどに安定した高温期だということが分かります。
それが、「人類の文明」の基盤となる安定した気候条件であり、それ以前(これが本当の”氷河期”ですが)の極めて低い気温の方が普通だったように感じられるでしょう。
さて、何を言いたいのかお分かりでしょう。
世界の気候というものは、人間の活動など無くてもこれほどまでに大きく変動するもののようです。
14万年前にはほんの僅かな時間の間に、実に一気に14度も平均気温の上昇が起きています。
さらに、それが終わると約13万年前から11万年前にかけての2万年で、これまた一気に10度近くも平均気温が下がっています。
二酸化炭素濃度上昇による温暖化が100年で2度に達するというのが、これと比べても速いのかもしれませんが、とてもそれだけで説明できるものではないでしょう。
ちなみに、約7万年前にそれまでの傾向よりさらに低温化が進みますが、これがインドネシアのトパカルデラの巨大噴火による温度低下かもしれません。
とはいえ、これも数度の温度低下に寄与しているのかもしれませんが、それ以前の低温傾向が強く、それほど大した影響では無かったのかとも思えるほどです。
自然現象というものは、決して一つの原因と一つの結果だけで出来上がっているものではないのでしょう。