オウム真理教が起こした事件は有名ですが、他にも多くの事件が起きています。
いわゆる新興宗教というものでの事件が多いのですが、そればかりでなく伝統的な宗教でも色々とあるようです。
第1部は、「平成10大宗教事件」と題して大きなものを集めています。
サルマン・ラシュディが書いた「悪魔の詩」という小説は、イランのホメイニ師が著者の処刑の声明を発したというように、イスラム世界の大きな反発を招いたのですが、それを日本語に訳した筑波大学助教授が大学で刺殺されたという事件も記憶にあります。
結局犯人は分からないまま未解決となっています。
韓国の統一教会、(世界基督教統一神霊協会)の信者による合同結婚式というのも話題を集めました。
平成4年(1992年)のことですが、その中に元歌手の桜田淳子と、元新体操選手山崎浩子などが含まれていたので大きな話題となりました。
統一教会は他にもいろいろと事件を起こしてくれました。
第2部では、日本を揺るがした新宗教と題し、オウム真理教、統一教会、そして創価学会の事件史を扱っています
創価学会もオウムや統一教会と一緒にされるのは困るかもしれませんが、書かれているかつての事件を見るとまあ仕方ないかと思えてしまいます。
統一教会は、合同結婚式以外にも霊感商法や高額の壺の販売といった事件を起こしました。
韓国の教祖文鮮明のもとに巨額の献金を送るためにそのような金集めをしたのですが、これらの問題が起きて外部からの調達が不可能となると、信者からギリギリまで金を集めるということになります。
信者は多くの借金を抱えても教会についていくということになりました。
新興宗教はある神がかりをしたリーダーが中心となり教義もあやふやなまま暴走することも多いようで、内部でのリンチ事件や、集団自殺などを起こすことも何度もありました。
また、新興宗教という看板は見せかけで、実際は金儲けの手段として使っていたという例も見られます。
なんとか組織としてまとまっていき、数千人の信者を集めると一応は社会的にも認められる宗教団体となるのでしょうが、それでもそうなってから宗祖が暴走したり、宗祖の亡き後の跡目争いが激しかったりと、大騒ぎになることもあります。
一般の会社組織と違い体制がいい加減な割には大きな金が動くということがトラブルの温床になるのでしょう。
これは新興宗教だけでなく、浄土真宗大谷派や西本願寺などでも起きており、末端の信者たちにどう顔向けするのやらと思います。
全国の神社を束ねる神社本庁でも多くのトラブルがあるようで、必ずしも一枚岩にまとまっているわけでもないようです。
有名なところでは、明治神宮、石川県の気多大社といったところが神社本庁から離脱するという騒ぎになったこともあるようです。
大分の宇佐神宮でも、神社本庁派とこれまで宮司を世襲してきた家とが対立したとか。
明治時代以降の国家神道確立期には、新興宗教の国家弾圧も激しかったと聞きますが、実際かなりひどいものだったようです。
天理教や大本教は徹底破壊されたと言われていますが、その勢力の拡大を怖れたのでしょう。
アメリカでも新興宗教が大きな事件を起こすことが度々報じられますが、日本も負けず劣らず、様々な事件を起こしてきたものです。
社会に閉塞感が強まる今だからこそ、宗教事件が発生する危険性も強まっているのでしょう。
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