近藤邦明さんの「環境問題を考える」というサイトでは色々と勉強させていただいていますが、このたび近藤さんが「検証温暖化」という書籍を出版されたそうで、それについての記事が連載されています。
その中で、「再生可能エネルギー発電」というものが資源や化石燃料を浪費するだけのものに過ぎないということが解説されています。
これについては、私も繰り返し強調していますが、近藤さんと違って具体的な数字を出すことができませんので、今ひとつ説得力が無いということは自覚しています。
今回の近藤さんの記事ではかなり多くの数字をあげ、「再生可能エネルギー」というものが単なる機械メーカーの儲け話にすぎないということを論証しています。
風力発電、太陽光発電のいずれでも、非常に薄いエネルギーをかき集めて電力資源としますので、装置が巨大になります。
そして、その装置製造に使われる資源は鉄鋼や半導体原料などで、それを製造するにも莫大なエネルギーが使われています。
記事の中にもあるように、この辺の実情を詳細に検討するためには多くのデータが必要なのですが、それらはほとんど明らかにされていません。
本来ならば詳細な積み上げによって、再生可能エネルギー発電電力のCO2当量を算定することによって、CO2削減効果を評価すべきところですが、あいにくその種のデータは公表されていませんので、ここからは大雑把な推定を行うことにします。ここでは、エネルギー費用によって投入化石燃料消費量を比較することを考えます。
実は、この点にもこういった「エネルギー産業」を考える上での大きな問題点が表れているわけです。
つまり、こういった産業を担っているのは「エネルギー産業」ではなく「機械メーカー」であるために、そのシステムを組み上げるのに費やしたすべてのエネルギーを数え上げるなどといった手続きがあることすら認識していないからでしょう。
近藤さんの試算によれば、もっとも設備建設エネルギーが少なくて済む陸上風力発電でも火力発電と同程度のエネルギーが必要であり、洋上風力発電や太陽光発電システムなどではそれよりもはるかに大きなエネルギー投入が必要となるそうです。
つまり、「再生可能エネルギー」は少しも「再生」できないということです。
しかも、ここには「再生可能エネルギー」につきまとう「電力不安定化」を解消する対策は含まれていません。
蓄電池などの安定化装置を含めばまったく投入エネルギーに見合うだけの電力供給は不可能なのは間違いありません。
近藤さんは「温暖化対策」としての「再生可能エネルギー」は不可能という立場での議論をしていますが、私の「化石燃料使用削減が第一」という立場とは少し違いはあります。
しかし、「化石燃料の無駄遣い」を止めさせるという意味では共通ですので、このデータは使わせていただこうと考えています。