爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

FOOCOM.NET専門家コラムより、長村洋一さんが「食品添加物表示制度検討会」を傍聴した

消費者庁では、食品添加物の含まれている食品での表示制度について検討していますが、その第3回検討会を健康食品管理士などをされている長村洋一さんが傍聴し、その内容を紹介しています。

www.foocom.netその第3回として、事業者団体からのヒアリングが行われました。

 

意見を述べたのは、日本うま味調味料協会の荻原葉子氏、山崎製パンの松長明弘氏、三菱商事ライフサイエンス㈱の高松秀和氏、㈱サンベルクスの鈴木優貴郎氏、そして日本ハムの岩間清氏でした。

いずれも、自社の業務内容の説明、消費者の問い合わせ現状、そして現行制度について、および「無添加・不使用」表示について意見を述べています。

 

各社とも、自社に直接「食品添加物について」問い合わせをしてくる消費者はほとんどいないそうです。

ただし、「化学調味料無添加」とうたわれる食品が「安全」だと認識する消費者は43%にのぼるという調査もあり、なんとなく添加物は入れない方が安全のような意識を持っているものの、メーカー側に直接尋ねるという行動を取るものは少ないようです。

 

荻原氏の報告によれば、「化学調味料」というものがどういうものかということを認識している消費者はほとんど居らず、その物質名、製造法も知られていません。

これを説明するとほとんどの人が「そんなに心配なものではない」と納得するそうで、消費者に対する説明努力がまだ少ないようです。

 

なお、山崎製パンからの報告では、最近非常に増えている他の製パン業者による「イーストフード、乳化剤不使用」ということを強調する点について説明されています。

山崎製パン | イーストフード、乳化剤不使用」等の強調表示について

これによれば、そのような業者では食品添加物として認可されている「イーストフード、乳化剤」は使っていないものの、同様の作用をする物質(食品添加物以外)を用いており、まったくそのような作用の物質は使っていないということではありません。

 

また、日本ハムでは発色剤・ボツリヌス菌抑制の意味でハム製造で使われている亜硝酸を使わないという製品も一部製造しているそうです。

これは、それを求める消費者にとっては喜ばれるものでしょうが、出来上がったハムは色が悪く、さらに問題となるのはボツリヌス菌が含まれていた場合に増殖する危険性が大きいことです。

日本ハム自体もその危険性は認識しているのでしょうが、それでもそういった商品を作るというのはある程度のリスクがあるでしょう。

 

記事で長村さんも強調しているように、今回、そして前回(消費者団体ヒアリング)で明らかになっているのは、消費者の食品添加物に対する理解不足が現在の事態を引き起こしているのであり、厚生労働省は現在の食品添加物の管理体制には大きな問題はなく安全性が確保されていると考えているということです。

 

あくまでも問題は消費者教育、そしてしっかりしたリスクコミュニケーターの養成を行い、そして「消費者に真実を知っていただく」という企業姿勢が大切だということです。

 

消費者が知らないのが悪いというだけでなく、添加物は安全であると思っていても余計なことを言うと面倒だから言わなかったという業界側のこれまでの姿勢も問題だということでしょう。

 

その一方で、きちんとした定義もないままに「食品添加物無添加、不使用」を謳い文句にして売上を増やそうとする業者は無数と言えるほどです。

それが逆に「添加物はなんとなく危ない」という意識を強めさせることにもなっているのでしょう。