爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「図解 地方自治 はやわかり」松下啓一著

多くの自治体の長と議員を選挙する、統一地方選挙が行われたばかりですが、今回も低投票率、候補者の枯渇などの問題点が露呈しました。

 

とはいえ、自分自身がそういった地方自治というものについて、ほとんど知識がないのも確かですので、この機会に少し勉強してみようかと思い立ちました。

 

ということで、なるべく分かりやすく解説してあるものをと思って選んだのが、長年市職員として勤務のあと、大学教授などをされているという、松下さんが「図解」で書かれているこの本でした。

しかし、あくまでも「現行の地方自治」というものを「わかりやすく」説明しているものであり、どこに問題点があるのか、どうすれば良いのかといった観点からは書かれておらず、私の目的には少し外れてしまったものだったようです。

 

それでも多少は現状問題点にも触れてあり、人口減少時代を迎えて市町村合併を進めたり、地方分権についてや、都道府県、市町村の役割の見直し、道州制についてなどもほんの少しは書かれていました。

本当はその辺のところを詳しく書いてあるものが読みたかったのですが、しょうがない。

 

そんな中、私を含めて多くの人が誤解しているものがありました。

地方自治では、長と議員というものはどちらも住民の選挙で選ばれます。

これを二元代表制と呼ぶのですが、これは国のシステムである議院内閣制とは全く異なる方法です。

議院内閣制では、内閣は国民を代表する国会に基盤をおく一元代表制となっています。

 

国のシステムと混同してしまい、県や市の制度である二元代表制であっても、県知事や市長が議会の多数派と馴れ合ってしまい、両者の癒着が生まれる例が多いようです。

実は、地方議会には「与党・野党」というものはないのですが、選挙の折に議員が応援したというだけで、与党という思い込みがあるのは、本来の二元代表制ではないそうです。

 

この前の選挙でも、多くの地方議会で定数ちょうどの立候補で無投票となったり、定数割れの選挙すら出てくる状態でした。

地方自治というものが、国や県の政治の下請けのようなものという認識があれば、そのようなものは無くても良いと思われてしまうのでしょう。

しかし、地方分権などと称して地方の仕事を増やしても、税金は中央のままということもあり、前途は暗いようです。

やはり、もっと現行の地方自治制度が持つ問題点を指摘するような本を見つけるべきでしょう。

 

図解 地方自治はやわかり

図解 地方自治はやわかり