爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「日本人の知らない日本語」蛇蔵&海野凪子著

海野さんは日本語学校で来日した外国人に日本語を教えています。

彼らは母国である程度日本語の基礎を勉強したあと、日本でさらに磨きをかけようとしてやってきます。

したがって、そこそこの日本語の会話能力はあるのですが、やはりどこかおかしいというところが見られます。

 

そういった、日本語勉強中の外国人の言葉の使い方を紹介するという人気シリーズのようで、続編も何冊も出版されているようです。

 

とはいえ、そんな外国人の日本語の使い方が未熟と言って面白がるだけでもない内容を含んでいます。

たとえば、敬語の使い方などはきちんと習ってきた外国人の方がそこいらの日本人よりよほどまともという場合もあるようです。

日本語学校の生徒もアルバイトは認められているようで、レストランなどのウェイトレスやコンビニといったところに務めるのですが、先輩日本人の敬語を聞いて、凪子先生に「あれで良いのですか」と聞かれるとかなり困るそうです。

「ご注文のほう、以上でよろしかったでしょうか」とか

「こちらパスタになります」とか

「お飲み物は紅茶で大丈夫ですか」などの先輩日本人の言葉使いに、「それは間違いです」などとは言わないように外国人学生に注意しなければならないそうです。

 

とはいえ、非常に面白い学生さんもいるようで、どうしても紹介したくなります。

 

フランス人のけっこう上流階級のマダムが入学してきたそうです。

そのマダムが自己紹介をするのに「おひかえなすって」と始めたとか。

彼女は日本の任侠映画の大ファンで、フランスでもそれを見て日本語を覚えたそうです。

なお、別のフランス人学生に聞いたところでは、彼女の話すフランス語は非常に上品なものだったそうです。

 

外国人が日本語を勉強するとき、一番困るのがカタカナで書く外来語だそうです。

元の言葉の発音とはまったく異なる上に、意味も原語で通常使うものとはかけ離れたものが多いとか。

バイト先で買い物を頼まれて、欲しいものを書いたメモを渡されたけれど、それに書いてあったのが「サランラップ、アルミホイル、ポカリ」などといったカタカナばかりでさっぱり分からなかったそうです。

仕方がないので、行った先の店員さんにメモを見せて聞いたら、その人も外国人で読めなかったという落ちまでついていました。

 

「日本いい国」の項に書いてあることは考えさせられます。

中東のある国から来た人が言ったのは「街がきれいです。ビルに穴が開いていない」

中南米の某国からの人は「交差点で車が必ず止まるのは良い。自分の国では交差点で止まると強盗に襲撃される」

ヨーロッパのある国からの人は「自販機に感動する。人気の無いところに置いてあっても中のお金を誰も取らない」

 

我々もきれいな日本語を正しく話したいものです。

 

日本人の知らない日本語

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