意味が分かっているのかいないのか分かりませんが、カタカナ語という言葉があちこちで飛び交っています。
その特に目立つ状況が、本書の区分けにもなっているように「ビジネス現場」「意識高い系パーソン」「IT業界」「メディア業界」でしょう。
本書には取り上げられていませんが、「政府・行政機関」というのもひどいところです。
この本では、そういったところで頻発する「よくわからん外来語のカタカナ語」を取り上げ、その誤用例をマンガで、日本語できちんと言い直す言い方、そしてその言葉の本来の意味を解説という構成です。
この本を見れば、これまでいい加減に使っていたカタカナ語の本来の意味や使い方も分かりそうです。
ただし、その「本来の意味」が分かったとしても、やはり「日本語で」言い直す方が良さそうです。
本書「はじめに」のところに書いてある挿話が面白い。
筆者が先日とある外資系企業の担当者と打ち合わせをしたそうです。
先方の2名と3人で話していたのですが、先方は一人がアメリカ人、一人が日本人。
その日本人の担当者が、やたらにカタカナ語を駆使して話してきました。
ちょっと意味が分かりにくいと思っていたら、アメリカ人の方が口を開いて、「日本語で簡潔に、噛み砕いて」説明してくれたそうです。
そのアメリカ人担当者は、カタカナ語というものをほとんど使いませんでした。
それでかえって、話の内容がとてもよく理解できたということです。
このように、おかしなカタカナ語の使用が蔓延している理由は、「おわりに」のところにまとめられています。
日本人は他の(非英語)先進国と比べても英語への劣等感が強いようです。
学校で最低6年間は英語を習っているのに、会話もままならない。
そこで、カタカナ語の登場です。これを自由自在に?使うことで劣等感を消してくれると思っている人が多いようです。
しかし、言葉は思いを伝えるためのものであり、自己満足の道具ではなく、相手に正確に伝えることが大事です。
それでは取り上げられているカタカナ語で、間違いやすいものをいくつか紹介します。
ジャストアイデア これを褒め言葉と間違えている人がいるようです。
英語の Just an idea に由来しますが、これは「ただの思いつき」という意味ですし、カタカナ語を海外で話しても通じません。
バイラル あまり聞いたことがなかったのですが、IT業界で使われるとか。
ウイルスという言葉の形容詞型で、感染力の強いウイルスが瞬く間に広がる様子から、SNSなどでの口コミを指すようになりました。
クラウド これもネットでよく使われています。
「ネットワークを通してソフトやハードの利用権を提供するサービス」を意味しており、cloud(雲、集団)に由来する言葉です。
なお、「クラウドソーシング」や「クラウドファンディング」といった言葉に使われる「クラウド」は「crowd」(群衆・大衆)であり、まったく異なる用語です。
せめて、誤用は避けて恥をかかないようにしたいものです。