有名人が亡くなった後に様々なトラブルが起きて話題になることがよくあります。
きちんとした遺言書を作っておけばそれは防げるはずです。
しかし、そう言われても「まだ若い」とか「そんなに財産もない」と言って対策をしようとしない人がほとんどのようです。
著者の本田さんは行政書士であり、様々なコンサルタント業務もされているようですが、遺言書作成を依頼されて出来上がってもそのことを絶対に周囲に知られたくない人がほとんどのようです。
日本人には、遺言書というものが触れたくない話題となっているようです。
財産が少ないからと言っても、数十万円の預金をめぐって遺産争いが起きることもあり、油断できません。
「うちは家族みな仲がいいから大丈夫」と言う人が多いのですが、それも「貴方が居ればこそ」で、父親が亡くなるとそれまで仲が良いように見えた兄弟がいがみ合うこともよくあることのようです。
そのようなトラブルが起きないとしても、遺産相続手続きというものは非常に複雑で面倒であり、残された人に多大の手間と心労をかけてしまいます。
これも、遺言書で適切に指示をしておくことで、かなり手間を減らすことができるようです。
また、「まだ若いから」というのも実は逆で、「若くして死んだ場合」というのは老人が亡くなる場合と比べてはるかに問題が起きやすく、適切な遺言をしておけば良かったという例が多いそうです。
特に、子供がまだ未成年の場合は遺産分割協議をする場合に「特別代理人」という人を選任しなければならず、手続きにさらに時間がかかることがあります。
もしも自営業などで経営している人が亡くなった場合など、必要な経費も使えなくなり会社の運営に大きな悪影響が出ることもあります。
また、「子供が居ない夫婦」の場合は特に遺言書の必要性が高く、亡くなった人の親が存命の場合には親に、親が亡くなっていた場合には兄弟にも遺産相続の権利があり、夫が亡くなり妻が全財産を相続できると思っていたら、夫の兄弟が請求してきたということもあるようです。
遺言書の作成法には、いくつかの方法がありますが、多くは「自筆証書」と
「公正証書」でしょう。
自筆証書遺言はすべて自分で書けば良いので手軽なようですが、実際は書式などに不備があり無効になってしまうことが多いので、公正証書遺言を薦めています。
手数料や謝礼が必要ですが、財産額と相続人の人数によって差はあるものの数万円で済むようです。
また、著者は遺言書だけでなく「生前三点契約書」の作成も薦めています。
これは、「財産管理等の委任契約書」「任意後見契約書」「尊厳死の宣誓書」で、老後に認知症になったり、身体が不自由になった場合にどうするかということを決めておき、不安を失くしておこうというものです。
私も60をちょっと過ぎ(もう”ちょっと”じゃなくなっているかも)ていますが、まだ遺言書などは先の話と思っていました。
そろそろ真剣に考えておくべきなのかもしれません。
その死に方は、迷惑です―遺言書と生前三点契約書 (集英社新書)
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