著者の松尾さんは現在は日本経済新聞の編集委員兼論説委員、東京外語大アラビア語科を出て日経新聞社入社、中東での勤務も経てエネルギー問題の専門家という人です。
石油の行末はやはり縮小に向かうという判断でしょうか。
その代りが、シェールオイル、天然ガス、そして再生エネルギーということです。
こういった「経済専門家」の技術判断というのは、どこから情報を仕入れるのかと思ったことがあります。
おそらく、知人の技術専門家から聞かされるのでしょうが、「今はない技術」の見通しは誰に聞いても正確であるはずはありません。
私の見たところ、「技術者・科学者」の未来予想はすべて過大で楽観的、もっと端的にいえば「開発資金欲しさの我田引水論」です。
この本の趣旨に沿って言えば、「シェールオイル」なるものは、石油採掘の残りカス、しばらくは採れるがすぐに無くなるというものでしょうし、「天然ガス」も石油に先駆けて無くなりそうです。
さらに「再生エネルギー」は装置価格が下がってこないのがすべてを表すように、コストが合わないものでしょう。
経済専門家の見通しは5年、10年は確かに極めて正確なものでしょうが、100年、200年先を考える人はいません。
100年先にはエネルギーはかなり減少するでしょう。石炭はまだ少しはあるものの、石油はかなり減少。それにつれて値段は高騰。
それをカバーできる「再生エネルギー」はありません。
わずかながらに小規模風力や水力発電で電灯ぐらいは点くかもしれません。
そんなわけで、あまり期待もせずに読み始めた本ですが、その通りの印象でした。