爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「島原・天草の諸道 街道をゆく17」司馬遼太郎著

あまり司馬さんの本は読まないのですが、この一冊だけ。

 

街道をゆく」というシリーズは、数十冊も書かれており、日本国内だけでなく海外版もあるようですが、その中で「島原・天草」というこの本のみ読みました。

したがって、シリーズがどのような主題をもとに書かれていたかということも何も分かりません。

この本を読んでの印象だけですが、一般的にある地域を旅して書かれた旅行記などの書物は多いのですが、それらと異なり一つの対象だけを突き詰めていくだけの旅と言うもののように見えます。

 

実際にその場に行かなくても書けるのではとの疑問も出ますが、ところどころには現地の情報も入っていますので、やはり足を運んだのかと納得はさせられますが。

 

この本の主題とは、「天草島原の乱」がほとんど、そして少々隠れキリシタンです。

 

私の現住所、熊本県八代市八代海を隔てて天草諸島の対岸、さらに島原は宇土半島越しに雲仙岳が見えるというところですので、この地域にも何度も足を運んだこともありますし、色々な話も聞いています。

この本に書かれていることも、これまでの知識とほぼ同一といったものであり、若干詳しいことも含まれていますが、基本的には新たな印象が得られるものではありませんでした。

 

しかし、文中に書かれていたことで、天草諸島東シナ海から近づいてくる南方からの船にとっては日本で最初に到着する場所であったと言うイメージは、忘れがちな視点かもしれません。

熊本県内から見ても、天草はちょっと辺鄙な田舎、全国的には僻地そのもののイメージでしょうから。

それが、かつては対外的に最先端であった時期もあったということです。

 

本書最後の方には、天草の天主堂、大江と崎津も触れています。

つい先日、世界遺産として崎津天主堂は長崎の多くの場所とともに登録の運びとなりました。

現地は観光への期待が増しているようですが。

どうも素直に喜べません。

 

街道をゆく 17 島原・天草の諸道

街道をゆく 17 島原・天草の諸道