「リケジョ」つまり理系女子という、最近注目されている人たちについて、「理系女子アドバイザー」という秋田さんが様々な点について書いています。
実は、私も理系そのものでして、最近こそ歴史物や政治経済本などの読書が多いためにあまりそういった雰囲気は無いかもしれませんが、大学農学部を卒業、その後メーカーに就職して会社の研究所にも勤務という経歴ですので、この本に書かれていることは非常に身近に感じられることばかりです。
なお、私の子供二人もやはり工学部に進みメーカーに就職、特に下の娘はまさに「リケジョ」でした。
本書に引かれている理系女子の意識調査によれば、「なぜ理系を目指したか」という質問に対しては「親兄弟の影響」というものが最も多かったそうです。
また、著者の秋田さんの経験でも大学などで出会ったリケジョさんたちの「親や兄弟が理系」ということが極めて多いということがあります。
これは「実際にリケジョで生きていけるかどうか」ということが、理系の人以外にはよく分からないということが反映しているのでしょう。
それを少しでも知ってもらいたくて、この本を書かれたということですので、もしも文系の親御さんで子供さんが「理系に行きたい」と言ってもこの本を読めば安心できるかも?しれません。
なお、本書前半の理系の学校、就職といったところの解説は、別にリケジョだけに限った話ではなく「リケダン」(理系男子)でも十分に通用する知識ですので、読む価値はあるかも。
後半部、結婚や出産、育児というところはさすがに女性特有の問題かと思います。
「理系」といっても、大学の学部で言えば理学系、工学系、農学系、保健系(医学薬学も含む)とありますが、一応この本では理学系で職種も研究という人たちを主としています。
こういった人たちの就ける職業としては、大学などや企業の研究所といったところですが、女性でそういった研究職についている人は日本全国で128000人ほどだそうです。
男女比では大学では25%、企業ではわずかに8%とか。ただし、大学は看護・家政も入りますので、(この2つはほとんど女性)これを除けばやはり相当女性研究者の割合は低いもののようです。
国の施策としても、女性研究者の増加というものを目指しているのですが、色々な制約や問題点があり、なかなか進んでいないようです。
リケジョの方々は、それも研究職を目指すとなるとどうしても大学院進学が必要となります。
企業就職のコースを選ぶと、たいていは修士終了で就職しますが、それでも大卒プラス二年かかりますので、年齢が高くなります。
また、こういった研究所を持つ企業は都会の真ん中にはあまりなく、郊外か地方に立地していることが多いのですが、そういったところでは高学歴の男性というものも少なく、交際相手や結婚相手を探すというのは難しくなります。
男性もせいぜい大卒ですので、彼らが「修士の女性」を見るとどうしても交際相手としては考えられないとか。
したがって、こういったリケジョの人たちの結婚相手はだいたい学生時代からの交際か、研究所で知り合った人しかいないようです。
ほとんどの場合は学生時代からの交際を続けているのですが、もしもその彼と別れることになったら、合コンや婚活イベントはほとんど無理だとか。
このあたり、やはり非常に切実な問題でしょう。
うちの娘もやはり学生時代からの相手と結婚しました。そうでもないと難しいかも。
理系の典型的な性格というものも書いてあります。
・自分のペースを乱されたくない(マイペース型)
・何事もできるだけ効率的に進めたい(合理性追求型)
・こだわりが強く自分の意見を述べたい(自論展開型)
・常に科学的根拠があるかどうかを最重視する(根拠重視型)
自分もまさにこの性格であるということを実感しました。
リケジョに尋ねたアンケートものっていました。
理系を選択して良かったことは
・好きな仕事につけた
・就職活動が楽だった
等々なんですが、・女子トイレがいつでも空いている
というのが、実感がこもっていると思いました。
逆に、理系男子では「トイレがいつも混雑している」でしょう。
ちなみに、理系を選択して失敗したことは
・サークルの勧誘をまったく受けなかった(モテなかった)
・理屈っぽさに磨きがかかった
・一人でも生きていける自信がついてしまった
だそうです。
著者の秋田さんは残念ながら結婚相手の方の転勤があり会社を辞めざるをえなかったそうです。しかしその地で英語ボランティアや家庭教師をするなど、独自の活躍ができるのも理系の強みとか。
それもあるでしょうね。特に家庭教師それも女子中高生相手は狙い目かと思います。
私の大学時代の同級生などにもバリバリの研究者が居ますが、今よりはるかに厳しかった時代にそれを乗り越えて突き進んで来られたのですから、大変な苦労だったのでしょう。
とにかく、他の色々な分野でもそうでしょうが、女性が実力を発揮できる社会になることが必要でしょう。