精神科医の和田さんの本ですが、内容はさほど難しいものではなく「気の持ち方」といった程度のものです。
キレる若者なんていうことを良く言いますが、若者だけでなく中年から老人までキレやすくなっているようです。
これは感情のコントロールができないということであり、本書副題にもあるように「不機嫌な人は幼稚に見える」ということで、かつての道徳観から言えば心理的成熟というものはそのような不安定な心理を落ち着かせるということに至ることを目標としてきたはずです。
とは言え、現代社会には不愉快な事が次から次と起きていますし、仕事でもしていればその状況は楽しいものではないことがほとんどでしょうから、不機嫌が昂じて怒りに向かうということもいつでも起きそうなものです。
そこで、和田さんが提案するのは色々な「心の鎮め方」ということです。
和田さんも様々な社会的活動をされていますので、それに対する批判といったものも次々と送られてきます。いかに心理の専門家といえどそういった批判を目にすると心穏やかとは行きません。
どうするかと言えば、批判のコメントやメールなどは「見ない」。間違って見てしまっても決して反論などしない。そして片付けるべき仕事などを一つ一つ行なっていく。
そして、自分の意見に賛同してくれたり賞賛してくれるメールなどが来たらそれを読んで機嫌を治す(こういったメールなどは非常に礼儀正しく書かれているのでちらっと見ただけでそれを分かるそうです。一方、批判メールは匿名で乱雑、これも見ただけで分かります)
まあ言ってみれば簡単なことです。
自分の「感情コンディション」というものをつかむことも必要です。
いつもいつも嫌なことばかり言われる上司の小言も気になる時もありますが、受け流せる時もあります。そのような「感情コンディション」が良い場合もあります。
このコンディションは自然に良くなったり悪くなったりすることもありますが、それ以上に自分で変えられるということもあります。
何か悪いことがあった時にそれに囚われて内向きになり、いつまでもそのことをくよくよ考えているとコンディションが悪化する一方です。
こういう時は、なんでも良いから身体を動かすということも必要です。
いつも朗らかな人はよく動いているようです。朗らかだから動けるのではなく、逆に動くから朗らかでいられるというのが本当のところのようです。
感情的になりやすく、未成熟な人は、「物事の白黒をはっきりとさせなければ我慢できない」ということが多いようです。
社会の出来事にそれほど100%と0%ではっきりできることなどあるはずもありません。
それを認識することが大人の成熟なのですが、それが分かっていない人が多いようです。「曖昧さに耐える」ということが成熟なのかもしれません。
自分だけの思い込みの正義というものに合わさなければならない「sholud思考」というものに取り憑かれると感情も悪化します。
ましては、他人まで自分の「should」で測っていては良い人間関係などできるはずもありません。
この世の中で穏やかに朗らかに暮らすというのは難しいことでしょう。それでも少し気をつけることで少しでもそれに近づけるならやってみる価値はあるかもしれません。
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