昔から参考にさせていただいている、渡辺宏さんの「安心?!食べ物情報」で紹介されていたのが、JA系の米卸業者が産地偽装をしたと週刊ダイヤモンドが報道、それに対して当の卸業者は提訴もという騒ぎになっているということです。
http://food.kenji.ne.jp/review/review902.html
しかし、問題はさらに広がり、米業者が週刊ダイヤモンドに抗議した際に、「農水省に調査を依頼しており事実はいずれ明らかになる」と語っていたのに、自民党の現在の農林部会長である小泉進次郎氏が「農水省がそのような事実はないと語っている」と否定したということです。
元の週刊ダイヤモンドの記事によれば、JA系の米卸業者という、京都の「京山」という会社の扱う魚沼産コシヒカリと称する米を、同位体検査を使って米の産地検査をすることで実績のある、「同位体研究所」という分析会社に検査させたところ、10粒中6粒が中国産と判定されたとして週刊誌に掲載したということです。
それに対し京山側は事実無根として抗議し提訴もということなのですが、その根拠は示されていないようです。
そこで飛び出したのが「農水省に調査依頼」などというありもしない話だったということです。
渡辺宏さんは現在は食品衛生や流通上の問題など取り上げる活動をされていますが、以前は生協で商品の仕入れ担当をされていたということで、このような卸業者の生態というものにも詳しく、JA系だから安心などということは全く無く、かえってその商売には胡散臭いものが多いということも経験上ご存知のようで、今回の件も非常に疑わしいと感じておられるようです。
実はこの記事に興味を持ったのは、この米の産地判別に使われたのが、ホウ素とストロンチウムの安定同位体の構成比のパターン化によるものだということです。
同位体というと放射性同位体が連想されますが、実は放射性でない安定同位体というものも数多く、それがどういった構成比を取るかということは地域によって差があるということです。
そこでそのような元素の同位体比を詳しく分析することによってその産地が明らかになるということです。
これとそっくりの話をつい最近も耳にしました。
榛名山の火砕流で生き埋めになった古代の武人の骨の分析をしたところ、その出身地が長野県伊那地方であるということが分かったというものですが、それもストロンチウム同位体の分析によるものだということでした。
分析技術の進歩というものがいろいろな所に影響を及ぼしているものと思います。(まあプラス面ばかりでもないのですが)