爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「こうして、世界は終わる」ナオミ・オレスケス、エリック・コンウェイ著

最初にお断りしておきます。

いつもの図書館でパラパラと内容を見て借りてきた本ですが、読み出して唖然とするものでした。

社会科学の本棚から選んだのですが、中味はSF、近未来から21世紀を振り返るという体裁のものです。それもあまり出来の良くない。

 

この前からAmazonの本販売のサイトと連携しており、一応この本も載せておきますが、こんな本買ったら損ですよ。

 

こうして、世界は終わる――すべてわかっているのに止められないこれだけの理由

こうして、世界は終わる――すべてわかっているのに止められないこれだけの理由

 

 

著者のオレスケスはハーバード大学教授で科学史の「世界的権威」と紹介されています。またコンウェイNASA研究所所属で歴史科学が専門とのことです。

しかし、これまでも特定の企業や政治団体と癒着して世論操作に手を貸した科学者たちを糾弾する著書「世界を騙し続ける科学者たち」といった本を出版しているそうで、そういった政治的な主張が強い人たちなのでしょう。

 

それにしても、内容は300年後の西暦2393年を舞台として、温暖化による海面上昇で西洋文明が崩壊し、なぜか中国が唯一の大国として生き残っている世界だということです。

そして、なぜこうなることが判っていながら効果的な策が取れなかったかということを振り返っています。

したがって、そのような温暖化による海面上昇自体が起きるかどうかも分からないとして意見を発表している現代の科学者たちも企業の手先として未来から糾弾しています。

 

これから起こるであろうことも、すべて現在の温暖化危機論者たちが挙げていることが、より大々的に、より速やかに起きていくということになっています。

 

さらに、シェールガス開発はいよいよその速度を早め、狂騒とも言える化石燃料開発競争を引き起こし、温暖化のスピードを上げたということにしています。

シェールオイル・ガスについてはこのブログでも何度も取り上げていますが、石油高騰の状況下では見合ってもそうでなければ開発する目処はないものです。

”賀茂川耕助のブログを読んで”No.1117シェール革命の終焉 - 爽風上々のブログ

私はこのシェールに関するアメリカの施策はロシアを骨抜きにするための政治的な要因だけによるもので、エネルギー政策とはまったく関係ないものと思っています。

それも分からずにどんどん拡大するというこの本の設定はどうでしょう。あまりにも底の浅い議論に思えます。

 

ちょっと辟易するほどの設定です。

なお、中国が生き残ったのはなぜかと言えば、「民主主義ではなかったから」だということです。共産党が強権で開発制限できたからということなのでしょう。

これもちょっと見方が変と思いますが。

 

まあ、かなり有名な科学者であっても自分の専門外のところでは馬脚を表すというところでしょうか。