爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

中国漁船を抑えるためには 勝川俊雄さんのご意見

以前にご著書を拝見して以来、

「漁業と言う日本の問題」勝川俊雄著 - 爽風上々のブログ

公式サイトも参考にさせて頂いている三重大学の勝川さんが中国漁船の問題に関して面白いことを書いて居られます。

 

katukawa.com

日本ではこれまで日本漁船がさんざん乱獲して水産資源を痛めつけたことなど忘れたかのように、今になって進出してきた中国漁船のために資源が枯渇するかのような報道がもっぱらですが、Financial Timesは中国漁民も取材して詳細な記事を書いているそうです。

 

それによると、中国漁船が日本沖まで出ていかざるをえないのは近海の資源を取り尽くして遠方まで出ていかざるを得ないということ、そして政府からの燃料補助金があるから出ていけるがそれがなければ操業不可能となること、そして漁民たちも子どもにこの仕事を継がせることなど無理ということは認識しているということです。

 

そこで、勝川さんの指摘は「政府の燃料補助金を止めさせることができたら中国漁船は半減する」ということです。

 

実は、世界的にも水産資源を持続可能とするためにこのような政府補助金を禁止するという方向での協議が始まっているということです。

http://mainichi.jp/articles/20160916/ddn/008/020/025000c

 

しかし、日本はこの交渉への参加を見送りました。

記事中にも指摘されているように、日本政府自身が漁業者に対する燃料補助や漁船建造の補助をしているためにその影響を怖れているということです。

 

なんだ、中国とおんなじことを日本もやっているんじゃないかということです。

 

これについてはあまり大きく報道はされていません。上記の毎日新聞記事も事実だけを書いてありその背景の解説もなく、「日本は参加を見送った」とだけ書いてあってもほとんどその意味も分からないでしょう。

 

日本の漁業も明らかに様々な魚を捕りすぎています。資源保護のためには制限が必要なのですが、それには中国や韓国など外国のせいにするのではなく、自国の漁業を見直すのが一番でしょう。