いろいろと刺激的な評論を書いている三橋氏ですが、この本はテレビや新聞など大手マスコミについての批判を扱っています。
本の出版時期が内容にも非常に影響を与えていると思いますが、これは2011年9月であり、東日本大震災が起き福島原発事故が起こってから半年ほど、まだ民主党政権時でした。(今は昔の話です)
そのためか、テレビや新聞などのマスコミが政府に迎合し癒着していると強く批判されていますが、それは「民主党政権」です。決して今の安倍政権ではありません。
当時の記憶をたどってもあまり、民主党政権とマスコミの癒着という感覚は無かったのですが、見る人が見れば別の見方ができるということでしょうか。
かえって、小沢一郎や鳩山に対する執拗なマスコミの攻撃の方が目立っていたような気がするのですが。
また、本書の基調もマスコミが中国などの資本の影響を強く受けその意に沿った報道姿勢をとっているとしています。現在ではとてもそうは思えませんので、著者は今では相当安心しているのでしょう。
さて、本書は冒頭の著者の基調解説の後は3人の人との対談で構成されています。
いずれも既成大マスコミの内部を経験しながらそこから出てマスコミに対する批判をしている人たちであり、元毎日新聞の河内孝氏、元NHKの立花孝志氏、チャンネル桜代表という水島総氏です。
彼らの言う大マスコミの内部情報が正しいのかどうかを判断することはできませんが、話半分としても相当ひどいものだということは言えそうです。
新聞記者が政府などの記者クラブでの取材がほとんどだということは聞いたことがありますが、これをやっている限りは日本の記者はジャーナリストにはなれないということですが、そのとおりでしょう。
そして大新聞ではどこも政治部出身者が経営陣に入り込むことが普通のようです。こういった人々はまともな経営というものはできないでしょう。それが大新聞社の凋落にもつながります。
なお、日本では新聞社とテレビ局が同じ系列になっていますが、このようなクロス・オーナーシップというものは悪影響ばかりで禁止すべきということです。これももっともです。
NHKの内部情報というものはすごいものです。
受信料の徴収率というものは80%ほどと言われていますが、そもそもテレビ台数を正確に把握もしておらず、また公正な数字を出す保証もないため、実態は50%以下、特に大阪などでは25%も無いのではないかということです。
それでも現在の徴収した7000億円程度で十分ですので、あまり事を荒立てることのないようにそれ以上は言わないとか。
演芸やスポーツ、ドラマなどNHKがあえて放送する必要もないものは民放に任せ、報道だけでやっていけば受信料も数百円でやっていけるはずということです。
なお、NHKの内部の経理はむちゃくちゃ、不正経理などが蔓延しているそうです。
日本全体の広告料というものが総額2兆円だそうです。それにNHK受信料総額の7000億円を加えたものでテレビ業界というものが形作られているのだそうですが、放送権で守られているために改善もできないようです。
まあ報道メディアに相当問題がありそうだということは伝わりました。