爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「英文法の楽園」里中哲彦著

新聞で「英語の質問箱」というコラムを連載した著者が、そこに寄せられた読者からの質問の中から文法に関するものを選び解説を加えたものです。
英会話をするといっても英語の文法をないがしろにしては自分の考えを正確に伝え合うということにはつながりません。しかし、日本の学校教育での英文法はあまりにも枝葉末節にこだわるということがあるそうです。
そこで、「たいていの人が知らない英文法の謎」を平易な言葉で解説してみようということです。

不定冠詞の a と an ですが、これは実は昔は an でありそれが徐々に n が取れて a になってきたそうです。したがって、 an が先だとか。
put という動詞がなかなかうまく使いこなせないという質問者がいました。これは普通は「置く」と訳されていますが、実はputは「置く」というよりは「落ち着かせる」と考えた方が理解しやすいそうです。
友人の家にパーティーに行って、どこに座ったらいいのかと聞いたら「Put it anywhere」と答えられたそうです。it(君の尻)をどこにでも落ち着かせろ、すなわちどこにでも座ってくれということだそうです。

I tried. という言葉で、日本人はやってみて成功したと言う意味で使うことが多いそうですが、これは失敗したという背景があった時に使う表現だそうです。したがって、これだけでも「やってみたけどだめだった」という意味になります。未来形で、I'll try. と使う場合もありますが、これも「どうせダメだろうけど、やってみる」という意味だとか。

This is on me. というのは「これは私のおごりです」という意味だそうです。これがなぜかという質問ですが、実はonという前置詞は必ず「接触」という概念が含まれるそうです。物理的な接触だけではありません。さまざまな対象に接触すること、それがonです。したがって、例文は自分の財布に接触する。すなわちおごりだと言う事です。

So much for today.と昔の英語の先生が言っていたのですが、これは不適当ということです。これは実は「あることが計画通りに行かず不満や失望を持っている」という意味を含んでおり、その意味で授業の終わりに先生がこう言ったとしたらそれは授業が上手く行かなかったということなのですが、そう思って使っていた先生は居なかったでしょう。
実は現在でも英和辞書には否定的な表現としては載っていないものもあるということです。
これは、昔私も授業で聞きました。先生は知らなかったのだろうな。

色々と面白い文法の話というのもあるものです。しかし、一読しただけですぐに忘れてしまうんだろうな。実用にはならないのが残念です。