爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

”安心?!食べ物情報”で日本ワインについての記事

以前から大変参考にさせて頂いている渡辺宏さんという方の食品関係の記事(週1回更新)で今週は「日本ワイン」についての記事が出ていました。http://food.kenji.ne.jp/review/review808.html
知っている人は知っている通り、「国産ワイン」というものの原料はほとんどが輸入果汁で、それを日本国内で発酵させれば「国産ワイン」と表示することができます。しかし、ブドウまで国内産であることを強調したいという生産者や消費者の声と言うものもあるので、差別化のために「日本ワイン」といった表示を決めたいと言う趣旨の話が持ち上がっているようです。

渡辺さんの記事の中にもあるように、確かに一部のワインは非常に品質の高いものも出てきましたが、そうではないものも数多くあります。地元のブドウを使って作っているということで販売を有利にしたいのでしょうが、品質が遠く及ばないものもあるようです。
これには醸造技術が低い場合もあるのでしょうが、大きな問題としてそもそも日本のブドウはワイン向きではないものが多いということがあります。ブドウ原産地の中央アジアのような乾燥地帯と比べると非常に降雨量が多い日本ではブドウの糖度が上がらず、香りも薄くなるのでしょう。
さらに、ブドウの原料価格がどうしても高騰すると言う問題も大きいのでしょう。

なお、他の酒類では特に「地元の米を使った清酒」などと言うことを売り物にしている場合を除けばさほど原料の産地にはこだわっていません。麦焼酎などもほとんどは輸入原料であり、その方が品質も安定しています。また、泡盛は以前と同様の状況であればタイ米が使いやすいために輸入原料米が使われていたはずです。
ワインのブドウについては、主力産地のヨーロッパでブドウの産地による品質の違いと言うものをやや過度に取り上げる傾向がありますので、良いブドウを使って産地でそのまま醸造といったことを評価することがありますが、これも良いところは良いのでしょうが、悪いところではどうしようもない話で、品質の優れた原料を持ってきて作れば何の問題もないと思います。

地元産業をトータルに元気付けるという意味での「地産地消」ですが、それが品質も優れているということはまったく論理的ではなく、そうでない例がほとんどでしょう。それに頼りすぎた商売の方向性というものも、危ういものに見えます。