爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「向かい合う 日本と韓国・朝鮮の歴史 前近代編・上」歴史教育者協議会他編

日本と韓国の間の歴史というものは古代から深い関係を持っていたのは間違いないのですが、近いがために侵略や併合などの歴史もあったのも事実です。
しかし、正確な知識を持たないまま発言してしまうことがないとは言えないようです。
そのような状況を少しでも改善したいという想いからか、日本の歴史教育者協議会と韓国の全国歴史教師の会が共同で編修した日本と韓国の歴史、それには相互関係ももちろんですが、各自の国内の歴史についても同じ時期を並べながら編集されています。また、どちらについても非常に大きな意味を持つ中国の関係する歴史についても書かれています。
ただし、あくまでも正統的な歴史観という立場で書かれており挑戦的な解釈の歴史については触れられていないようです。

この上巻では、歴史の始まる前の時代から日本の鎌倉時代、朝鮮では高麗の時代までを著述してあります。
古代の両国は神話の中では異なる起源があるように書かれていますが、実際には密接な関係を持つ面もあったようです。大和朝廷が独自の起源で発展したかのように言われていますが実は朝鮮半島からやってきた人々が多数を占めていたようです。
また、朝鮮半島の中も今のような画一的とも思える状況ではなく、各地に相当違いのある人々が分立していたようですが、その後の統一により一体化してしまいました。百済は滅ぼされたもののそこから日本に逃れてきた人も多かったようです。

モンゴルの帝国には朝鮮半島は激しい抵抗はしたものの飲み込まれてしまいました。完全な支配は受けなかったものの国は骨抜きにされてしまい、高麗の兵ともどもに日本に襲来する元寇が起きましたが、何とか撃退しました。しかし、これが遠因となって鎌倉幕府は滅亡してしまいました。
鎌倉幕府も仏教を信仰していましたが、その当時の高麗王朝もその後の朝鮮王朝とは異なり仏教を尊重していたようです。その後、儒教を取り入れたために道が異なってしまいますが、似通った姿もあるようです。

自国の歴史をさまざまな面から見ることも重要ですが、他国についてもできるだけ知識を身に付けることは必要です。特に隣国については不可避でしょう。これは日本から見て韓国や中国の歴史を知るということでもあり、逆も必要ということです。目を背けずにいたいものです。