爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「近藤誠の”女性の医学”」近藤誠著

ガンでも医者で治療を受けずに放置した方が良いという主張で有名な近藤誠さんの著書です。

どうもお名前が親近感のある感覚だったのですが、考えてみれば新撰組の局長が近藤勇、旗が「誠」の一文字だったんですね。そのせいでもないでしょうが、非常に攻撃的な内容になっています。既存の医療体制すべてを攻撃しているようです。

非常に乱暴に一言でまとめてしまえば、現在の医療は検査も手術もそれによって延命効果というものはまったく出ず、すべては医療関係者が儲かるようにできているのだということです。

根拠は日本のものは少ないようですが、諸外国での調査結果にあります。これも自らに都合の悪いものは紹介しないという医療関係者のために日本では知られていないと書いてありますが、本当はどうなんでしょうか。

 

医学界としては正面からの反論というものは無いようですが、当然ながら多数のお医者さんのところで批判されています。近藤さんの主張の一つに「がんにも本当のガンと、ガンモドキと言うべきものがあり、本当のガンは見つかってから切ったとしてもすでに転移しているし、ガンモドキは放っておいても大丈夫」というのがあり、本書の中にもこれに沿った論が展開されています。

これについても、批判HPには、「このような単純な二分法で片付くものではなく、初期には転移は起こさず最終期に入って盛んに転移するものもあり、このようなものは見つかってから切り取る処置が有効」というものもあります。どうもこちらの方が説得力もありそうです。

 

とはいえ、一応本書の紹介はしておきましょう。

医療全般に対して批判を加えている著者ですが、もともと放射線科が専門でしたので女性のガン患者も多数治療してきました。子宮がん、乳ガンの患者を多くみて、現在の医療の被害者になっているのは女性が多いということに気付いたそうです。

これまでの医者は圧倒的に男性が多く、それは女性対象の産婦人科でもそうでした。そこでは女性を尊重する態度と言うものがなく、治療と言う名の金儲けがやりたい放題だったそうです。

また女性の側も医者の権威に騙されやすく、また美と健康を求める性質がより強いということも付け入られやすいところです。

健康食品やサプリメントなどは何の効果もない、過度の衛生志向はかえって免疫を弱めるという点はもっともな主張がされています。

 

ガンについては特徴的な主張ですが、転移をしやすい真性のガンと、転移はしないガンモドキがあり、検査で見つかるのはほとんどガンモドキだということです。これらを取り除く手術や抗がん剤の副作用でかえって健康を損ない死亡してしまうこともあるということなんですが、どうでしょう。

諸外国の統計資料で、がん検診を行ってもガン死者数が減っていないということが一つの論拠とされているようですが、死者数というのは発症数と大きく関連してくるでしょうから、一口では言えないように思いますが。

 

本書の最後にはガン発見後に手術を勧められても断り、放置して何十年も長生きした患者の実例が語られています。これも「個人の体験です」という注釈が必要なようです。

 

確かに、不要な検査が多すぎるとか、過度の治療とか、存在するのも確かでしょうが、そればかりではないでしょう。個人的ではありますが、自身のHPなどで反論されているお医者さんの論じるところをきちんと読んでみた方がためになりそうです。