爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「編集者の危機管理術」堀田貢得、大亀哲郎著

二人の著者は出版社の小学館で契約や訴訟処理など法律関係の問題担当として業務に携わってきたそうです。その経験に基づき出版関係者が知っておくべき問題の数々を例をたくさんあげて説明されています。
問題点としては、名誉毀損、プライバシー侵害、著作権侵害商標権侵害、景品表示法薬事法、等々です。
とくに、コミックはトラブルの百貨店だそうで、差別表現、歴史認識、性表現、名誉毀損、宗教問題、商標権など、編集者が気をつけなければ至る所で地雷を踏むようなものだということです。

名誉毀損の訴訟でも賠償金の金額がどんどんと高騰してきているようです。90年代では200万円程度だったものが、最近では1000万円を越える例が増えているとか。
この辺のところは書籍の出版だけではなく最近はネット関係でも有得るようで、注意しなければならないところでしょう。

商標権のトラブルというのは、相手が企業だけに最初から本格的な法的措置になるようです。企業側は社名や商品名というのはもっとも大切にしているものですので、どうしても争いが厳しくなるということです。

景品表示法PL法薬事法は知らないでは済まされないところで、かなり気を使っても失敗することが多いということです。雑誌などで景品をつけるということは良くあることですが、それの当選対象や金額などちょっとした間違いで取り締まり対象になるそうです。また、PL法も出版は製造ではないので関係ないかと言うとそうではなく、雑誌の付録などで怪我をするということも時々起こるそうです。
また、健康食品やサプリなど本に載せる広告でも薬事法違反事例など頻発しており詳しい知識が必要になるそうです。

コミックというものは、文章だけのものと比べても危険性が増す上に若者向けの内容で執筆者も社会経験が少ないために、もろに書いてはいけないものを満載ということも良くあるようで、謝罪、取り消し、賠償等頻発だそうです。
これも最初の掲載から編集者が気をつけなければいけないところだそうでうす。
特に、バックの絵というのが危険性大で、いい加減に他の絵を引っ張ってきたり(盗用)、書いてはいけないものを書いたりということが多いとか。

出版社編集者というのはなかなか大変な職業のようです。ただし、クレームへの対応では中には電話を受けるのに机に足を乗せたままという人もいるようで、それでは相手に気付かれてしまうと著者は注意していました。