爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

エネルギー文明論「中国の海洋進出」

中国のなりふり構わぬ南シナ海での行状は毎日のニュースで報じられ、尖閣諸島近辺の動向も緊張を高めています。
日本などは「力による領土変更は許されない」などと抗議をしていますが、中国は聞く耳も持たないようです。

しかし、中国が何をしようとしているかを考えるとその意味は明らかです。
南シナ海南沙諸島付近では”海底油田の掘削設備建設”を行っています。つまり、そこまで石油が欲しいということなのでしょう。
尖閣諸島付近にもガスや石油などが存在するという話もあります。

以前に私はこの欄で、「オイルピーク後の石油供給減の世界では、石油を取り合って紛争が起きる」と書いたと思います。「行儀の悪い大国が石油を奪い合う」とも書いた記憶があります。
こういった事態はもう少し先かと思っていましたが、すでに始まってしまったということでしょう。

「石油の一滴は血の一滴」と言われたのは70年以上も前の太平洋戦争前ですが、その意味は現在さらに強まっています。
考えようによっては、中国政府は石油をはじめとするエネルギーの供給について的確な見通しを持っており、それに従って実に分かりやすい政策を取っているだけなのかも知れません。
そのような見通しも全く持たずに「経済成長戦略」などというもはや時代錯誤の政策を打ち上げる日本政府の方がよほどバカ丸出しのようにも見えます。

「行儀の悪い大国が石油を奪い合う」ことが中国の行動で見えていると書きましたが、実はアメリカのイラク戦争もそのような政策の表れであるということは数多くの識者が指摘しているところです。そうなると、このような状況は相当前から始まっているということでしょう。

石油などは金さえ出せば買えるという安易な考えで何の対策も考えずに経済成長だけを求めるのがいかに危険なことなのか、中国の行動を見て深く考えるような政府と国民になってもらいたいものです。