爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

教育論「もしも教育システムが職業人教育に最適化されていたら」

現在の非効率な教育システム(?誰にとって)が産業界の求めるような即戦力職業人育成について最適化されており、効率が良いものであったとするとそれはどのようなものでしょうか。

まず、初等教育は全生徒に対して同等なものでなければいけないのは間違いないところでしょう。小学校に入るのに選抜試験はできないでしょうし、やるとするとそれ以前の幼児教育段階で競争が始まります。
小学校が6年間が妥当なのかどうかは議論が分かれるかも知れません。職業人というものが現代の産業界においては非常に多種に分類されるでしょうから、それぞれにふさわしい教育をするためには時間が足りないと言えます。それを補うためには小学校をもう少し短くする対応が必要かもしれません。

ここで考えておかなければならないのは、職業による収入の格差です。これが存在する以上は子供一人ひとりの選択、(もちろん親も)は将来の仕事から得られる報酬をできるだけ高くする方向になされるということです。それが小学校卒業時の進路選択で左右されるとなると現在の現実社会よりさらに激しい競争が起こるでしょう。

さて、中等学校では早くも職業別のコース分けが必要となると言うことになります。現実では中学校では全員一律のコースで教育がなされていますが、もしも職業教育が重視されるならそういった一般教養教育がふさわしくない職業もあるかもしれません。中等学校段階でより専門的な教育がなされる必要があるものと考えられます。と言うようなわけで、小学校卒業から中等学校入学時に第1段階の選抜がなされることとなります。
しかし、そういった一部の職業以外の対象者はそこまでのコース分けは必要ないでしょうから、現在の中学と似たような一般教育コースの中等学校進学をするのではないでしょうか。

後期中等教育(現在の高等学校)ではさらに多数のコース分けが必要でしょう。さらに上の大学教育を目指す一般教育コースのほかに、高校卒業段階で就職する生徒に向け、各種職業向けの教育コースが必要だからです。

高等教育(大学・大学院)に至っては、どんなにコース分けが必要になるか、想像もできません。

このような事態になるのは、「職業教育」というものがもしも”即戦力”を求めるなら、各種職業が持つ特性に合わせて教育する必要があるためで、英語とディベートだけ教えていれば職業教育というような単純なものであるはずがないからです。メーカーの大企業をとってみても、本社企画部門と総務経理部門、工場運営部門、物流部門、営業部門、それぞれの社員に求められる能力が同一でしょうか。そんなはずはないでしょう。

それにしても、このような教育体制を想像していると、崩壊した社会主義国を思い出してしまいました。計画経済で子供の育成もそれにあわせていくと言うのはそういうことなのかも知れません。