爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

歴史

「流言のメディア史」佐藤卓己著

「フェイクニュース」や「ポスト真実」といった言葉がクローズアップされています。 しかし、そういった事態は今になって始まったものかどうか。 実は80年前の状況をみてもそういったものがいくらでも見られます。 第二次世界大戦が始まった1939年、ドイツの…

「事大主義 日本・朝鮮・沖縄の『自虐と侮蔑』」室井康成著

「事大主義」という言葉は、最近では韓国の政情に関わるものであるような感覚を持っていましたが、実は色々な場面で使われてきたもののようです。 「事大」つまり、「大」に「事える」(つかえる)という言葉自体は中国の古典にあるもので、孟子の一節にあり…

人種差別に反対する運動が広がる。歴史上の人物は誰もアウトでは。

アメリカで警察官に殺された黒人男性の事件に対する抗議活動が広がる中、世界中でかつて奴隷制度に加担したりした人物の銅像などが倒されるといったことが相次いでいます。 www.yomiuri.co.jp形だけは平等となった社会でも実質的差別が残っているのは明らか…

「鉄道快適化物語」小島英俊著

今の鉄道の旅はかなり楽になっており、ほんの数時間で東京から大阪まで、しかも苦痛もほとんどなく(まあ心理的には苦しい人もいるようですが)旅することができるようになりました。 また、何十万円もの費用で旅行をできる高級クルーズトレインなるものも出…

「首相になれなかった男たち」村瀬信一著

政治家を志す者は誰しも夢見るのが「首相」総理大臣になることでしょう。 しかしほとんどその夢がかなうことはありません。 ところが、有力ポストを歴任し実力は認められながらもあと一歩が足らずに首相に届かなかった人たちがいます。 この本ではそういった…

「錆と人間 ビール缶から戦艦まで」ジョナサン・ウィルドマン著

人類は鉄を始めとする金属類を使いこなすことで文明を築いてきました。 しかし、その金属はすぐ「錆びる」 これをどうにかしないことには、不経済ということもありますが、直接に生命に関わることにもなります。 この本では、そういった錆をめぐる話をいくつ…

「ヒトラー演説 熱狂の真実」高田博行著

昔の資料映像などを見ると、ヒトラーが熱弁をふるいそれに聴衆が熱狂的な反応をするといった場面がしばしば出てくるようで、ナチスがドイツ国民の支持を取り付けるには重要な要素だったのかと思わせるものがあります。 著者の高田さんはドイツ語史が専門と言…

「ラグビー伝説 ひた走る闘魂の物語」スポーツグラフィック ナンバー編

昨年のラグビーワールドカップ日本大会は大会としても大成功と言えるでしょうが、それ以上に日本代表チームの躍進が素晴らしく、多くの人を魅了し「にわかラグビーファン」が続出しました。 しかし、これまでの日本のラグビーもマイナーではあるものの熱心な…

「征夷大将軍になり損ねた男たち」二木謙一著

征夷大将軍という役職は律令体制の始めからあり、奈良時代や平安時代にも蝦夷征伐のために任命されていましたが、日本の歴史で「将軍」といえばやはり鎌倉幕府に始まる武家政権の最高位として存在感がありました。 その後、室町幕府、江戸幕府と征夷大将軍を…

「本能寺の変に謎はあるのか?」渡邊大門著

ちょうど大河ドラマでは明智光秀を主人公とした物語が放映されていますが、その本能寺の変の描き方はどうなるのでしょうか。 絶大な権力を手にした織田信長を一瞬の隙をつき打ち取った本能寺の変は、その裏に何があるのかということは多くの人々の興味をひい…

「江戸時代の数学最前線」小川東、森本光生著

江戸時代に発達した「和算」という日本独自の数学は非常に高いレベルであったという話だけは有名ですが、その内容まではなかなか知られていないのではないでしょうか。 江戸時代も初期の関孝和は、和算における高等数学研究の先駆けとなった人ですが、高次連…

「鷲頭氏はどこから来た 轡が証す下松の渡来人」斎藤順著

この本はいつも通っている市立図書館で、「ご自由にお持ちください」というコーナーに置いてあったものを貰ってきました。 定期的に蔵書を見直し、廃棄するものを希望者に無料配布するということのようです。 まあ、ただなら良いかと思って持ってきました。 …

「150年前の科学誌『NATURE』には何が書かれていたのか」瀧澤美奈子著

「NATURE」といえば科学論文の発表舞台としては「SCIENCE」と並んで世界最高峰と言えるものでしょう。 そのNATUREがイギリスで創刊されたのが1869年、ほぼ150年前でした。 それは日本では幕府が倒れ明治政府ができて直後のことです。 その当時のNATUREには何…

「東アジア仏教史」石井公成著

日本から見て仏教が伝わった歴史と言えば、鎌倉時代の東大寺の学僧、凝然(ぎょうねん)がまとめた「三国仏法伝通縁起」などの見られる、天竺(インド)→震旦(中国)→本朝(日本)という図式がもととなり、それにせいぜい百済を加えた仏法伝来の道筋を示す…

「武器が語る日本史」兵頭二十八著

日本刀の切れ味は世界でも有数のものという話もありますが、一方では戦場ではほとんど役に立たなかったという話も聞きます。 乏しい知識ですが、世界各国、そして歴史の古今を映画の描写など見ても、戦争の光景というものは似ているようで違うところが多いよ…

「歴史を考えるヒント」網野善彦著

網野さんは中世日本史が専門の歴史家でしたが、ほとんどが農民であったという従来の中世史観に異議を唱え、様々な職業、卑賎なものとされた人々など多くの人が形作ってきたのが日本であるという見方を提唱しました。 この本に書かれているのは、「波」という…

「世界をまどわせた地図」エドワード・ブルック=ヒッチング著

昔の地図を見ると、結構細部までびっしりと書き込まれているようですが、その中には実際の地形とはまったく関係のない想像で書かれた部分がありました。 どうせそんなところまで行く人間はいないからいいやとでもいった風に描かれていたようです。 この本は…

「仰げば尊し 幻の原曲発見と『小学唱歌集』全軌跡」櫻井雅人、ヘルマン・ゴチェフスキ、安田寛著

学校の卒業式の定番曲ともいえる「仰げば尊し」、明治時代に選定された「小学唱歌集」に掲載されているものの、その原曲は何かということはまったく知られていませんでした。 しかし、本書著者の一人櫻井雅人が、2011年に発見しました。 それは、H・S・パー…

「歴史の愉しみ方 忍者・合戦・幕末史に学ぶ」磯田道史著

著者の磯田さんは映画にもなった「武士の家計簿」の原作者ですが、古文書を発掘し解読するのが専門と言う歴史学者です。 歴史好きという人も多いのですが、多くは歴史小説で作家の作り出した像を楽しむばかりですが、磯田さんは各地に埋もれた古文書を読み解…

「恋する武士 闘う貴族」関幸彦著

武士というと闘う者、貴族はそうではなく優雅に恋など語らう人というのが普通のイメージでしょうが、その逆であった人々も数多くいました。 そのような「恋する武士」「闘う貴族」というものを取り上げています。 「恋する武士」では時代別に3つに別けてい…

「秀吉の対外戦争 変容する語りとイメージ」井上泰至、金時徳著

豊臣秀吉の命で朝鮮半島に攻め入り、明軍や朝鮮半島の人々との戦いを繰り広げた、16世紀後半の戦役は日本では「文禄慶長の役」(さすがに最近は朝鮮征伐とは言わないでしょう)、韓国では「壬申倭乱」、中国では「抗倭援朝」と呼び方も様々です。 戦争をど…

「三国志 演義から正史、そして史実へ」渡邉義浩著

著者の渡邉さんは少年の頃に吉川英治の三国志に魅せられ、そのまま学生になってからは三国時代の歴史研究へ進み今でも三国志演義や正史三国志などの研究をされているという、三国好きの方です。 中国の漢王朝の末期、西暦2世紀から3世紀にかけて、魏呉蜀の…

「千丁村史」熊本県八代郡千丁村教育長編

熊本県の八代市千丁町というところはかつては独立した自治体でした。 その千丁村が編集し発行した村史です。 一般に発売された本ではありませんので、発行、印刷等の記録を転載しておきます。 千丁村史 昭和43年11月10日発行 発行者 千丁村長 松岡保 …

「境界の日本史 地域性の違いはどう生まれたか」森先一貴、近江俊秀著

東日本と西日本の違い、特に東京と大阪の差というものは今でもかなりあるようで、数々の話題にも上がってきます。 実は、このような地域差というものは古い時代からずっと存在しており、しかも時代が下ってきて地域間の交流が多くなっても、それで差が小さく…

「幻の料亭・日本橋『百川』」小泉武夫著

江戸時代も後期になると町人文化が爛熟し、料理店も高級になっていき、「八百善」「平清」「嶋村」といった一流の料亭が栄えるようになります。 その中で、日本橋浮世小路に「百川」という料亭がありました。 明治になって忽然と消え失せてしまったので、後…

「手紙から読み解く 戦国武将意外な真実」吉本健二著

室町時代以前には、文書というものはほとんどが公文書しかありませんでした。 紙などもそれほど普及せず、字を読み書きできる人々もわずかであれば私的な通信というものも成り立ちません。 しかし、戦国時代になると戦国武将と言われる人々は私的にも文書を…

「朝鮮属国史 中国が支配した2000年」宇山卓栄著

韓国朝鮮は日本と近いところにあり、人種的にも一番関係の深いところですが、その考え方や嗜好などはかなり違うものだということは、多くの人が感じていることでしょう。 それは一般的には中国の影響が強く儒教道徳に日本より深く染められているからだと言わ…

「鉄道唱歌と地図でたどる あの駅この街」今尾恵介著

「汽笛一声新橋を」という最初の部分は誰でも知っていることでしょう。 この歌は1900年(明治33年)に大阪の三木楽器という音楽出版社から出版されました。 作曲は上真行(うえさねみち)と多梅稚(おおのうめわか)、この二人が別々の曲を作り、その…

「中世の身体」ジャック・ル=ゴフ著

人間の肉体を賛美してきたギリシア・ローマ文化から、中西部ヨーロッパに重心が移った中世になると、まるで肉体と言うものを忌避しているかのような文化に変容してしまいます。 そういった中世と人体というものについて、歴史的というよりは哲学的な考察がさ…

「世界の起源 人類を決定づけた地球の歴史」ルイス・ダートネル著

現在の人類の社会というものは、これまでの地球の歴史によりできあがっていると言えます。 それはどういうものなのか、非常に広い範囲の事柄を取り上げています。 著者のダートネルさんの専門は「宇宙生物学」 なにやら得体のしれない学問ですが、そこから見…