爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

2015-01-01から1ヶ月間の記事一覧

「千年震災 繰り返す地震と津波の歴史に学ぶ」都司嘉宣著

著者の都司嘉宣(つじ よしのぶ)さんは長らく東京大学地震研究所で研究されており、専門は津波ということなので震災の折にはテレビにも出演されていたようです。現場主義というものを貫いてきたということで、可能な限り地震災害の現場には直後に入って調査…

「幻影からの脱出 原発危機と東大話法を越えて」安富歩著

”東大話法”とは著者の安富さんが前著の”原発危機と東大話法”という本で言い出した言葉のようで、原発事故のあと担当者の話し方を聞いてそれに共通する特徴が見出せるとしてこのように名づけたと言うことです。 著者は現在は東大の東洋文化研究所教授というこ…

「事故の心理」鶴田正一著

これもかなり古い本です。購入したのはおそらく会社に入った頃の1978年位かと思いますが、初版発行は昭和43年、1968年で内容は大体1965年までのものを扱っているようです。50年前ということになります。 著者の鶴田さんは1907年(明治4…

もったいない学会会長石井吉徳先生のブログ

たびたび引用させて頂いている、「もったいない学会」会長の石井先生のブログ最新記事はフィンランドの放射性廃棄物地下貯蔵設備についてです。10万年単位で貯蔵しなければならないのですが、世界の政財官の思考はせいぜい5年しか考えていないと批判され…

「エピジェネティクス」仲野徹著

エピジェネティクスとは、遺伝子の上にさらに修飾されることで遺伝の働きが変わってくると言うものです。 DNAによる遺伝の仕組みと言うものが判った時にはそれを解明すれば生物の遺伝はすべて判るかのように考えられ、その解析に全世界で当たりましたがどう…

「ツタンカーメン」大城道則著

著者は古代エジプトが専門の歴史学者です。 古代エジプトといえばツタンカーメンと言う名が出るのが普通でしょう。一番有名なファラオかと思いますが、その実体はほとんど知られていないのではないでしょうか。墓が無傷で見つかったとか、若くして亡くなった…

水素自動車の無意味さを明快に論破するサイト

大分在住で環境問題について詳しい解説をされている近藤さんという方のHPで、トヨタがさらに水素自動車に力を入れようとしていることについての批判が出されています。http://www.env01.net/fromadmin/contents/2015/2015_01.html#n972かなり前から環境問題…

「自分の体で実験したい」レスリー・デンディ、メル・ボーリング著

著者のデンティさんは大学で生物化学を教えているということなので研究者と言うよりは教育者なのかも知れません。 原題を「Guinia Pig Scientists」という本書は、科学、とくに医学分野で自分自身で人体実験をしてしまった人たちの伝記です。現代でもそのよ…

「日本語ふしぎ探検」日本経済新聞社編

日本語の言葉の疑問点をあれこれと探して答えるという本はたくさんありますが、ちょっと奥深い内容になっている本のようでした。 「心が折れる」という言葉は最近よく使われるようで、特に若い人の文章で見かけるようです。ルーツは1987年女子プロレスの…

「それでも好きなものだけ食べさせますか?」NHK「好きなものだけ食べさせたい」取材班 他著

2005年頃から盛んに「食育」と言う言葉が使われるようになりましたが、それを取り上げてシリーズでNHKスペシャルとして作成された番組の内容をまとめて本としたものです。 おそらく番組制作から関わっていたと思われる大学教授などの人々が章ごとに執筆され…

「2050年は江戸時代」石川英輔著

1994年出版ということで、もう20年も前の本ということになってしまいました。2050年にはかなり近づいてきました。最近読んだ別の本の著者が、「エネルギー使用の削減というと”江戸時代の生活に戻れというのか”と文句を言われる」と書いていたもの…

「人間にとって科学とは何か」村上陽一郎著

科学哲学、科学史研究者の村上陽一郎さんが科学とは何かということを一般向けに解説されたものです。 科学というものが大きく変化していく中で、社会と科学とのかかわりと言うところも含めて書かれています。科学の本質というものが段々と形成されてきたので…

「重大事故の舞台裏 技術で解明する真の原因」”日経ものづくり”編集

2005年の出版の本ですが、その当時に起こっていた重大事故についてその技術的な原因追求をしていったものです。 日経の関係者と思われる「日経ものづくり」というグループの人により書かれています。取り上げられている事故は、三菱自動車のハブ破断、JR福知…

「漢字がつくった東アジア」石川九楊著

書名から受けた印象で、漢字についての考察かと思ったのですが、実は本書は漢字の書体というところから東アジア全体の文明の発展を考えるという歴史観の文書でした。著者は書家であり、古代からの漢字や仮名、ハングルやチェーノムの書というものを研究され…

「エネルギーを選びなおす 再読」小澤祥司著

半年ばかり前に読んだ本の再読です。とはいってもそれに気がついたのは最後の方まで読み進めてからでそこまではまったく知らずに読んでいました。興味をひかれたところには付箋をつけながら読んでいるのですが、それも何枚も付けています。我ながら情けない…

「スウェーデンに学ぶ”持続可能な社会”」小澤徳太郎著

著者の小澤さんはスウェーデン大使館に環境保護オブザーバーとして勤務したあとに環境スペシャリストとして独立し、その後各地の大学でも教えてこられています。 またいろいろな環境問題での発言もされており、著書も多いようです。持続可能社会という言葉は…

異物混入騒ぎにFOOCOM.NET松永編集長の記事

マクドナルドの異物騒ぎに始まった大騒動ですが、よく参考にさせて頂いているFOOCOM.NETの松永和紀編集長が的確な記事を書いています。http://www.foocom.net/column/editor/12122/ 実は私自身も以前会社務めをしていた頃は食品会社の品質担当ということも…

人生が二度あれば

久し振りに井上陽水の「人生が二度あれば」を聞きました。 「父は今年64」という歌詞から始まる、その父の年に自分が近づいてきてしまいました。 しかし、もし本当に人生と言うものが二度あるような世界であれば、おそらく二度目の人生の終わりになって「…

阪神淡路大震災から20年

1月17日であの震災から20年になります。 当時は神奈川県に住んでおり、いつも早起きなのですが妻子はまだ寝ているためにテレビの音も最小にして見ていました。すると、NHKニュースで大阪から大きな地震が起こったと言う一報が流れ、その頃大阪所属だった宮田…

エネルギー文明論「環境倫理学に触れて」

ごく最近、”環境倫理学とはなにか”という本を読んだことは読書記録にも書きましたが、そこに展開されているものはこのエネルギー文明論でも書いてきた内容と非常に似たものでした。 ただし、その重点を置いている点で見ると若干の違いはあるようです。 環境…

ネットのトラブル、最近起きた一例

あまり誇らしげに語れるような話でもないのですが、ご参考になれば。いい年をしてと言われそうですが、私はコンピュータでゲームをするというのが大好きで、最近はネット上のゲームサイトのゲームをやるのがかなり気に入っています。 ところがつい先日、いつ…

「マリー・アントワネット」安達正勝著

マリー・アントワネットといえばルイ16世の王妃でフランス革命の際に死刑に処せられたということぐらいしか知らなかったのですが、生涯を詳しく解説された本書でだいぶ知識が増えました。まず、マリー・アントワネットはオーストリア王家の王女でありルイ13…

「環境倫理学のすすめ」加藤尚武著

これは何重もの意味で非常にショッキングな本でした。環境倫理学自体、名前からのイメージしか持っていなかったのでほとんどこれまでは関係した文書を読んだこともなかったのですが、本書の最初に環境倫理学の主要な構成成分として3つの要素が挙げられてい…

成人式

昨日は成人式でテレビニュースでは晴着を着た新成人たちの姿がたくさん見られました。 20歳の成人の3倍の年となった自分ですが、自分が成人式を迎えたその当時のことも思い出します。とはいっても成人式には出ませんでした。その頃でも女性は和服が多く、…

「環境工学入門」佐川治男著

これも古い本で、買ったのは1978年、就職して工場勤務になってすぐだと思いますので、ようやく環境というものに目が開いたという頃でしょうか。しかし、この本の初版はそれより前の1973年です。 著者の佐川さんはおそらくもうご存命ではないでしょう…

「ネガティブ・マインド なぜ”うつ”になる、どう予防する」坂本真士著

うつ病というものは多くの発生があり、社会的にも相当な損失となり自殺者の多くの原因となっていますが、これを扱うのは精神医学と臨床心理学が主となっています。 しかし、著者はそれを社会心理学という手法で長らく研究を重ねてきており、それを新書として…

「㈱貧困大国アメリカ」堤未果著

著者の堤さんはアメリカの野村證券に勤務の時に911に遭遇し、その後ジャーナリストに転進されたと言う方です。 最近では多くの本を書いているようで、なかなかの人気ジャーナリストのようです。この本も評判になったようですが、アメリカの各地を取材して…

「放射線と冷静に向き合いたいみなさんへ」ロバート・ピーター・ゲイル、エリック・ラックス著

著者のゲイルさんは血液学の研究者ですが、骨髄移植にも経験が豊富であり、原子力関連の事故の際には治療にも携わってきたということで、ソ連のチェルノブイリ事故や日本のJCO臨界事故の際も招聘されて治療に当たったと言うことです。 しかし本書は放射線の…

本日の交通違反

今散歩から帰ってきたところですが、その最中に見た交通違反の一例です。交差点に差し掛かったところでその前を通り過ぎていった軽トラックですが、その直後に派手に警笛を鳴らしました。なにか起こったのかと思って見てみたら、普通に通行している原付バイ…

「不安大国ニッポン」朝日新聞経済部著

2005年当時に朝日新聞紙上で連載された記事をまとめたものです。 10年近く前の状況ですが、現在でもまったく問題点は変わっていないようです。 前文には景気回復したとありますが、実際はそのようなものではなかったことは今では明らかでしょう。格差…