爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

2014-04-01から1ヶ月間の記事一覧

「社員のモチベーションは上げるな!」宋文洲著

中国より来日し大学を卒業後、ソフトブレーンという会社を創業し、現在も営業支援などのビジネス関連業をされている宋さんは様々な文筆活動もされており、以前から名前は知っていました。この本の趣旨は経営者や管理職に対して、無理に社員や部下のモチベー…

「こんなにおもしろい単位」白鳥敬著

科学技術分野を専門とするサイエンスライターの白鳥さんが、「単位」について簡潔にまとめました。 一つの単位について2ページずつというコンパクトなものですが、なかなかきれいにまとまっています。国際単位系のメートル、キログラム、アンペア等の記述か…

「クリックしたら、こうなった」多田文明著

「ついていったら、こうなった」というキャッチセールスなどのルポは聞いたことがありましたが、その著者の多田さんのネットなどの怪しい商法の体験ルポです。ワンクリック詐欺なんていうのもありますが、そこまでは行かなくても限りなく詐欺に近いようなも…

「知っておきたい浄土真宗」山崎龍明監修

私の実家の菩提寺は曹洞宗なのですが、家内の実家は浄土真宗で、さらに今住んでいる熊本県南は浄土真宗が大多数という土地柄です。最近も家内の伯父が亡くなりましたが葬儀や法事など実家での曹洞宗の経験とは大きく異なる風習があるようなので、まあ一つ読…

「シャーロック・ホームズ最後の解決」マイケル・シェイボン著

シャーロック・ホームズ作品には、コナン・ドイルが書いた「正典」と呼ばれるもの以外に数多くの他の作者が書いたものがあります。 その中にはパロディーもありますが、パスティーシュと呼ばれるものもあり、パロディがかなり茶化したイメージがあるのに比べ…

「古地図からみた古代日本」金田章裕著

当時京都大学文学部の教授だった金田(キンダ)さんが専門分野の古代の地図について細かく解説されています。 地図といっても世界図といったものとは異なり、一つの村や町だけを表した大縮尺図というものは古代ローマのものは知られているものの、他の文明で…

「地球温暖化は止まらない」フレッド・シンガー、デニス・エイヴァリー著

フレッド・シンガー氏は気候物理学者でヴァージニア大学終身教授ということです。IPCCにも関係していたようです。 しかし、本書はIPCCの主張がいかに科学的にいい加減なものかということを気候に関連した各種の科学的研究の成果に基づいて主張したものです。…

「トリマルキオの饗宴」青柳正規著

この本は97年の出版ですが、その当時は東京大学文学部の教授だった青柳さんの著書です。 原著は古代ローマのネロ皇帝の時代のペトロニウス・アルビテルという人で、その「サチュルコン」という作品の中の一編が本書の主題となっている「トリマルキオの饗宴…

「やさしいダンテ(神曲)」阿刀田高著

ショートショートやちょっと変わった味のある小説を書いておられた阿刀田さんですが、いろいろな古典作品を解説したエッセイも何冊も出版しています。これはその一つでダンテの神曲を扱ったものです。 ダンテは13世紀にイタリアのフィレンツェで生れ、その…

「”化学物質”恵みと誤解」ジョン・エムスリー著

著者のエムズリーさんはロンドン大学で研究・教育に当たった後、科学ライターという職についているそうです。 ”化学物質”という言葉はもちろん原著では使われていないはずですが、日本語では本来の意味を離れて独特の語感で使われています。訳者の元東京大学…

「犯罪不安社会 だれもが”不審者”?」浜井浩一、芹沢一也著

共著者の一人の浜井さんは現在は龍谷大学の教授ということですが、法務省に勤めていた当時は刑務所や保護観察所の勤務も経験され、現実の受刑者にも接する機会が多く、そういったところから現在の「治安悪化」恐怖症ともいうべき風潮がおかしいということを…

「街道をゆく19 中国・江南のみち」司馬遼太郎著

司馬遼太郎といえば「坂の上の雲」などで有名な国民作家とも言える人ですが、どうもその作風というものに違和感を感じてあまり読んだことはありませんでした。このように感じる人は他にも居るようで、佐高信さんの「司馬遼太郎と藤沢周平」という本は読んで…

プロ野球統一球の反発係数基準逸脱

普段は野球はほとんど見ないのですが、これでも子供の頃は屋外での遊びは野球くらいしかなかったので一応「野球好き少年」でした。しかし、もろもろの事件ですっかりプロ野球には興味を無くしていたのですが、まあ今回はどうやら品質管理関係の話題なのでち…

「うわさとデマ 口コミの科学」ニコラス・ディフォンツォ著

著者はアメリカのロチェスター工科大学心理学教授です。最初に翻訳者の江口泰子さんの前書きがあり、2011年の東日本大震災とその後の福島原発に関して噂の蔓延についての記述があります。その時は「何を信じたらいいか分からない」という状況の中で「まった…

「小村寿太郎 近代日本外交の体現者」片山慶隆著

片山さんは法学博士で関西外国語大学講師ということですが、外交史の研究ということで小村寿太郎に興味を持ち研究されていたそうです。小村に関しては名前だけは有名な面もあるのですが、生涯トータル通してのまとまった解説が無かったということでした。小…

「その一言が余計です。 日本語の”正しさ”を問う」山田敏弘著

著者の山田さんはいろいろな外国語を勉強した後に日本語の面白さに戻ったと言うことで、現在は岐阜大学教授です。本書の紹介欄には「シニア教授」とありますが、現在のHPには教育学部教授でシニア教授併任とありますが、どういった内容かはよく分かりません…

「モンティ・パイソン大全」須田泰成著

「空飛ぶモンティ・パイソン」(Monty Python’s Flying Circus)は1969年から74年までの間、イギリスのBBCで放送されたコメディ番組で、その後日本でも何回かにわたり放送されたので良く見たものです。その内容は殺人やセックス、政治や宗教の嘲笑、…

「人類進化99の謎」河合信和著

著者は新聞社出身の科学ジャーナリストということですが、こうった大きなテーマを手際よく説明するには専門の研究者よりふさわしいのかもしれません。700万年前とも言われているサヘラントロプシス・チャデンシスの出現から、ホモ属の出現、そして現生人類の…

「データの罠 世論はこうしてつくられる」田村秀著

著者の田村さんは自治省から新潟県などに出向した後、新潟大学に移った方で、地方行政が専門のようです。 様々な世論調査が行われ、それが行政の方向性にも相当な影響を与えていますが、それらがいかにいい加減なものかというところを論じています。本書は2…

STAP細胞論文騒動

昨日の小保方氏の会見で一段落するかと思ったらそれが不十分だということでテレビ新聞の取り上げ方はますます過熱しているようです。 研究者にコメントを求めると「会見内容には違和感を覚える」といった感想が帰っていますが、このようなテレビ報道の過熱自…

「それでも、日本人は”戦争”を選んだ」加藤陽子著

この本は東京大学の加藤教授が2007年の冬休みに神奈川県の栄光学園の中高生の歴史研究部員を対象として、1930年代を中心として日本がどのように戦争に向かって行ったかの経緯を講義した記録をまとめたものです。 実際に講義録をまとめた形になっており、生徒…

「NHK問題」武田徹著

ジャーナリストで評論家の武田さんが2006年に当時の不祥事相次ぎ受信料不払いも頻発した当時のNHKについて書かれたものです。したがって、現在のお友達会長の常軌を逸した発言でがたがたになっているNHKのことではなく、まだ少しはましだった頃の話なのかも…

「白川静の世界 Ⅲ思想・文化」立命館大学白川静記念東洋文字文化研究所編

白川静博士の業績をまとめたシリーズも第3巻最終で思想・歴史に関するものです。 順番から言うと万葉集・詩経の研究から入り漢字の成り立ちを研究したというところから、甲骨文字・金文の解読に進んだと言うことになりますので、中国古代の思想歴史に関する…

「名探偵ポワロの華麗なる生涯」アン・ハート著

カナダの作家のハートさんがアガサ・クリスティーの作り出した名探偵ポワロの登場する作品89編の中から様々な描写を抜き出してポワロの生涯をまとめなおしたと言うものです。 当然のことながら、長い間に発表された一連の作品ということで、原作者の様々な間…

「日本人はなぜシュートを打たないのか?」湯浅健二著

大学卒業後ドイツに渡ってサッカーコーチの資格を取得し、帰国後読売サッカークラブのコーチも勤めたと言う湯浅さんがサッカーコーチの心理的な側面を主に解説しています。ドイツでの修行時代は最初は下位リーグでプレーもしたようですが、とにかくフリース…

エネルギー文明論「石油の無くなる100年後の世界 (6)対策はあるか」

(6)対策はあるか このように、あと100年の内に「無尽蔵とも言えるようなエネルギー源」が開発されなければ、石油などの化石燃料が供給困難となり大きな社会不安を抱えることとなりそうです。 もちろん、そのようなエネルギー源が見つかる可能性も0とは…

エネルギー文明論「石油の無くなる100年後の世界 (4)各論・情報通信 (5)各論・化学工業」

(4)各論・情報通信 現代文明のもっとも象徴的な一面が情報通信の発展です。世界経済というものもそれなしには成り立たなくなっています。 情報通信事業は、実際に物資や人間を移動させるのとは異なりエネルギーの使用割合は低いものです。それでも現在は情…

エネルギー文明論「石油の無くなる100年後の世界 (3)各論 食糧生産」

(3)各論・食糧生産 人類の生存という点を考えれば、石油などのエネルギーの価格高騰で一番考えなければならないのは食糧生産です。 現代の食糧生産は石油頼りだとよく言われますが、その実態はどこまで知られているのでしょう。日本の農業は石油漬けと言…

「大隕石衝突の現実 天体衝突からいかに地球をまもるか」日本スペースガード協会著

スペースガードとは天体の地球衝突と言うことだそうです。この本は1998年刊行だそうですが、2013年2月にロシアのチェリャビンスク地方に隕石が落下し多くの被害が出たことがあり、加筆され急遽発行されました。ロシアに落ちた隕石は直径17m、約1万トンの…

エネルギー文明論「石油の無くなる100年後の世界 (2)各論 交通・輸送部門」

(2)各論・交通、輸送部門 石油燃料を軍隊では使えたとしても、一般社会ではほとんど使用不可能になります。現在の石油の使用先で重要なのはなんといっても輸送部門でしょうが、それをどうするかということが大問題になります。 楽観的な人々は電気自動車…