爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

2013-06-01から1ヶ月間の記事一覧

「”対テロ戦争”とイスラム世界」板垣雄三編

東京大学名誉教授で中東・イスラム研究の中心でもある板垣先生が多数の研究者の執筆者をまとめて現在のイスラムと”テロリズム”に関する現況をまとめたものです。 とはいっても2002年の出版なので、今ではさらに状況が変わっているわけです。最後の章で東京外…

「理系バカと文系バカ」竹内薫著

物理学を専攻した理学博士でありながら、科学ライターとして活躍している竹内さんが書いたもので、最初のところは理系バカ、文系バカの特徴などというところから入っていくので軽い内容かと思いましたが、だんだんと理系の苦境とか、文系でも理系素養が必要…

「パルテノン・スキャンダル」朽木ゆり子著

大英博物館にはギリシアやエジプトなどの歴史的な遺物が納められており、それの返還を求める国々との間で紛争が起きていることは知っていました。 この本はその中でも非常に優れたコレクションとして知られる、アテネのパルテノン神殿の彫刻をめぐる話です。…

「世界のエイプリルフール・ジョーク集」鈴木拓也著

翻訳・通訳の会社で翻訳を担当しているという鈴木さんがエイプリルフールに出されるジョークを蒐集したものです。 日本ではなかなか根付かないものの、欧米では結構大きな新聞やテレビでもエイプリルフールジョークというものが出される伝統があるようです。…

「コンスタンティノープルの陥落」塩野七生著

この前読んだ「レパントの海戦」とは順不同になりますが、1453年に起こったオスマントルコによるコンスタンティノープル陥落とビザンチン帝国の滅亡を扱った「コンスタンティノープルの陥落」を読みました。 ローマ帝国の東西分裂からは1000年以上続いたこと…

「ボクハ・ココニ・イマス消失刑」梶尾真治著

刑務所での服役の代わりに自宅に居る事を許すが、特殊な装置をつけさせ他人からは全く見えないようにさせる「消失刑」というものを想定した物語です。 やはり重たいテーマのせいか、展開も辛いものになっていきます。しかし、科学技術ばかりが進んでいくとこ…

「東大生が書いたお役人コトバの謎」東大ベストセラー出版会PICASO編

お役人コトバというものが存在しているというのはだいたい誰でも感じていることでしょう。それをゆくゆくは役人になる同窓生も多いと考えられる東大生が解説しようというものです。まあ実際、言葉というものはその奥の心理を反映していますのでそれらを批判…

奇跡のリンゴ 騒動

このブログではあまり触れていませんが、以前は職業柄、食品産業関係や食品衛生、農業生産などに関係しており、その頃からその専門家などのブログをよく見ており、それは現在でも同様です。もうそれらにコメントすることも余りありませんが、中でもしっかり…

「移民の宴」高野秀行著

早稲田大学探検部出身で世界各国を訪れ紀行を書いてきた高野さんが、日本国内にいる外国人がどのようなものを食べているかということを訪ね歩いたものです。 今国内にいる外国人は200万人に上るようです。世界各国からいろいろな目的で日本にやって来てい…

Google Map ストリートビュー範囲拡大

気付いたら詳細なストリートビューの範囲が石川県、富山県に拡大しました。 石川県には去年の3月まで仕事で行っており、当時は毎日車で走っていたので、道路の光景はとても懐かしく感じます。相当狭い道までカバーしていますので、以前住んでいたアパートの…

「原発を終わらせる」石橋克彦編

福島原発事故のすぐ後の2011年7月に出版された岩波新書版で、石橋さんの編で14人の人達の書いたものをまとめたものです。 その後明らかになったということもあるでしょうが、まず状況はほとんど変わっていないものと言えるでしょう。しかし、原発をめぐる世…

「私が見た、”韓国歴史ドラマ”の舞台と今」蓮池薫著

著者の名前を確認せずに表題だけ見て図書館で借りてきて、気がついてみれば蓮池さんの本でした。 韓国のテレビドラマはかなりたくさん入ってきていて、いろいろと見てはいますが、さすがに北朝鮮のものは見ることはできません。蓮池さんはそのどちらにも通じ…

「レパントの海戦」塩野七生著

ローマ以降の地中海を扱った塩野さんの作品はこの前読みましたが、その中のそれぞれの部分を扱った作品がいくつか出版されています。これはそのうち、レパントの海戦を描いたものです。 キリスト教国側の連合艦隊のうち、ヴェネツィアの副官を務め海戦で戦死…

「悲しき人形づかい」梶尾真治著

今回の梶尾作品の仕掛けはBF(脳波誘導ボディーフレーム)です。身体障害者や老人の介護のために用いられるように研究が進められているようですが、実用化まではあとどれ位かかるのでしょうか。 それを実用化してしまったマッドサイエンティストとその友人が…

エネルギー文明論「エネルギーの何が重要か、EPR、EPTについて」

人類史上、使用してきたエネルギーは実質的には植物体のみということは前にも述べました。つまり、薪炭から始まりそれを使い果たした後には以前から知られていた石炭・石油という化石燃料利用をするようになりましたが、それが極めて効率的なエネルギーであ…

「ローマ人への20の質問」塩野七生著

1992年から2006年までにかけて大著の「ローマ人の物語」全15巻が刊行されましたが、その中間の2000年にそのシリーズの販促本のようなこの本の出版がされています。 古代ローマについては日本人はあまり詳しくは知らず、主に西欧から見た視点をそのまま受け入…

「最古の料理」ジャン・ボテロ著

パリ国立高等研究員においてメソポタミア文明の研究に携わっていたポテロさんがその料理についての解読記録をまとめたものです。 7000年前に農耕が始められたというメソポタミアには様々な民族が王朝を作り栄えるようになりましたが、人類初めての記録と…

「漢字の魔力」佐々木睦著

中国文学者の首都大学東京の佐々木準教授が、中国での漢字の呪力という面からの扱いというものを紹介されたものです。 日本でも言葉の持つ呪力というのは相当根強いものがありますが、中国においては言葉にとどまらずその表記された文字、漢字というものも呪…

プロ野球「飛ぶ球」問題

どこまでが本当かわかりませんが、新聞などの報道によると昨年の球は基準を下回る反発係数のものがあったので、基準内に入るようにしてもらったとのことです。 それなら何も隠すことはないのではという気もしますが、おそらくそういうふうに発表した場合は「…

エネルギー文明論「道徳論のゆくえ」

前文で道徳的にみて現在のような化石燃料を使い尽くすようなやり方は間違いということを述べました。これは二酸化炭素排出云々という”科学的”論争とは関係がありません。後世の子孫たちのことを考えずに現在の経済のみを考えているとどんどんと付けが大きく…

「マグマの地球科学」鎌田浩毅著

火山学者の鎌田京都大学教授が一般向けにマグマというものについての解説をしたものです。 地球の内部は高温のマグマがどろどろに溶けているんだろうという程度の認識だったのですが、深い部分では液状ではなく、高温ではあるが高圧のために固体状であるそう…

「新幹線安全神話はこうしてつくられた」齊藤雅男著

新幹線の開業から運営方法が確立される頃に新幹線支社運転車両部長などとして活躍した齊藤さんが書かれた新幹線初期のさまざまなトラブルと対策の記録です。 昭和39年の新幹線開業時にはまだ自分は小学生で、しかも当時は九州にいたので実際に新幹線に触れ…

「ローマ亡き後の地中海世界(下)」塩野七生著

1453年にコンスタンチノープルが陥落しビザンチン帝国が滅亡してからあとの地中海世界の話です。オスマントルコがさらに勢力を広げますが、正式な海軍を確立して制海権を奪取するということをしないイスラム勢力の伝統そのままに、海賊を公認するだけで…

「クロノスの少女たち」梶尾真治著

今回の梶尾作品は時間関係を扱い、さらに主人公が女子中学生というものです。ジュブナイルSFという分野でしょうか。 そのためか、SF的な描写の部分はともかく、人間関係や登場人物の心理描写と言う点で他の作品ほどキレが良くないように感じます。さすがに少…

「感染症と文明」山本太郎著

アフリカなどで熱帯の感染症対策の経験をされ、長崎大学熱帯医学研究所教授の山本さんが人類の文明と感染症の関係について解説されたものです。 文明化以前の狩猟生活は数家族単位のごく少人数で移動しながら生活をしていたのですが、そういったときの方がか…

エネルギー文明論「道徳の話、数千万年の遺産の化石燃料を今の世代だけで消費してよいのか」

ここはエネルギー源の正確な残量や、新技術の評価などの科学的な見方を一時保留しておいて、「道徳」と言う観念から考え直さねばいけないものと思います。 道徳といっても、一部の右翼政治家が言っている様な愛国などの極めて局部的な面だけに矮小化しそれに…

「ローマ亡き後の地中海世界(上)」塩野七生著

塩野さんの著書はローマ人の物語を読み、最近十字軍物語を読みましたが、その間の数百年間が抜けていました。 ローマ帝国が分裂し、西ローマ帝国が滅亡したあと、すぐにゲルマン人などの国が封建制を敷いたように感じていましたが、その間には幾分かの隙間が…

サッカーワールドカップ予選

オーストラリア戦ぎりぎりで引き分けてワールドカップ出場を決めました。最後にPKを決めた本田の精神力の強さには改めて感服ですが、オーストラリアの先取点もすばらしいものでした。しかし、サッカーというのは改めて考えても不安定な要素が多く、サプライ…

雲仙普賢岳火砕流から22年

6月3日は雲仙普賢岳の噴火の際火砕流が起こり40人以上の人が巻き込まれて無くなった日から22年だそうです。 火山噴火の際は溶岩や火山灰というのは想像しやすいのかもしれませんが、その他のいろいろな現象がありどれも相当危険なものがあるようです。…

エネルギー文明論「運輸交通の姿」

最近の石油価格の高騰は円安による輸入価格の上昇によると捉えられているようですが、はたしてどうでしょう。そればかりではないはずです。元々高止まりしていたのがさらに厳しくなっているというのが本当でしょう。 それに対して、漁業者からは燃料代に補助…