爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

2013-04-01から1ヶ月間の記事一覧

「学校が学習塾にのみこまれる日」前屋毅著

教育関係者ではなく、フリージャーナリストの前屋さんが学校教育と学習塾の関係について記した本です。 ゆとり教育から学力重視へといろいろな動きがありますが、学校教育行政の迷走から起こるあらゆる局面に学習塾側の付け込む隙があり、着々と勢力を強めて…

エネルギー文明論「究極の持続可能社会」

化石燃料や原子力のエネルギーをジャブジャブと使い放題というのはさすがに何時までも続けられないよなというのは誰も思うのでしょうが、それを減らして”持続可能社会”というものを作っていこうとする考え方があります。 まあそれすら気がつかずに景気対策だ…

「時刻表のヒミツ」三宅俊彦著

相当な時刻表マニアらしい三宅俊彦さんの主に鉄道時刻表に関するトリビア集です。 いろいろな疑問を実地に見に行って解決してこられたようで、平成9年から2年間走っていた「いなほ13・6」号は基本的な車両編成からするとまったく説明のつかない表記(9…

「宗教常識の嘘」島田裕己著

宗教学者である意味有名な島田裕己さんの一般的な宗教に関する知識の本です。 まあ聞いていた話もありますが、初耳と言う話題もありました。 一神教というのは、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の現代でも大多数を占める宗教ですが、これはどれも中東の砂…

「食べるギリシア人」丹下和彦著

大阪市大名誉教授の丹下先生が、現代のギリシア食事情ではなく、古代のギリシア人の食生活について文学の中から読み取れるものを記したものです。 神話のなかで、トロイア戦争の参戦者のアキレウスの食べるシーンというのがほとんど無かったということで、ホ…

消費者庁の疑問

来年に迫った消費税の税率アップ時の「消費税還元セール」なるものの禁止をなぜか消費者庁が言い出しています。 消費税云々とうたわなくても取り締まるとか。どうも意味がわかりません。 お上のすることにケチを付けるようなことをするなというのであれば、…

「誰がテレビをつまらなくしたのか」立元幸治著

NHKのディレクター・局長等を歴任し、退職後は大学教授も勤められた立元さんがテレビ現状を解析したものです。 視聴率に踊らされ、ちょっと流行ったものにはすぐに追随して柳の下のどじょうを狙うような内容の番組ばかり蔓延している状況は危機的なものかも…

「韓半島からきた倭国」李鐘恒著

韓国で大学学長などを務めた李鐘恒さんの著書を1989年に翻訳したものです。 当時、すでに古田武彦氏の九州王朝論は発表されていましたが、それと似た内容ではあるものの細部は異なるもので、独自に編み出されたものであるようです。 主張の概要は、新羅…

「間違いだらけの時代劇」名和弓雄著

正木流古武術宗家という名和さんの89年の著作ですが、その後亡くなられたようです。時代劇の時代考証も担当されたとのことですが、なかなか言うことを聞いてくれない様子だったようです。 時代劇の隆盛だった頃というと何時ごろになるのでしょうか。現在は…

「食の世界遺産日本編」小泉武夫著

東京農業大学名誉教授の小泉武夫さんが、食に関するあれこれで世界遺産といっても良いというものを列挙したものです。 小泉先生は日本だけでなく世界各国のさまざまな食品について研究をしてこられましたが、その中でやはり日本の食品は様々な面からみて世界…

「食ショック」読売新聞「食ショック」取材班著

2008年に食品にまつわる様々な問題について読売新聞が1年間にわたり特集したシリーズの書籍化です。 食の安全、自給率に関わる問題、食文化の変化などについて様々な問題に取り組んでいますが、ちょっと広げすぎかも。当時の報道で、賞味期限切れの食品…

エネルギー文明論「それはいつか、いつから何をしなければならないか」

エネルギー源の中では一番早く減少すると見られている石油ですが、それでもようやく生産ピークを迎えたというところで、まだまだ埋蔵残量は多いといえます。本格的に使用しだしてからはまだ100年も経っていませんから、少なくとも数十年は十分に持つだけ…

「低炭素社会のデザイン」西岡秀三著

IPCCの活動にも深く関わっていたという国立環境研究所や大学教授などを歴任した西岡さんが、その主張立場上やむを得ず?二酸化炭素排出0を目指して低炭素社会を提唱したものです。 オイルピークなども視野には入れているようですが、ならば何を燃やせば温暖…

エネルギー文明論「原油の埋蔵量」

原油の生産がピークに達したかどうかということは統計としては(生産国がごまかしていない限りは)はっきりとつかめますので、その時は明確ではなくても少し時が経てば「あのときがピークだった」というように認識できるものでしょう。 しかし、原油の埋蔵量…

「古代史論文集”倭国”とはなにか」倭国を徹底して研究する九州古代史の会編

邪馬台国だけにとどまらず古代史における九州の価値は調べるほどに大きいことがわかりますが、そういった動きは中央の歴史学会では鈍くても当地では非常に大きいものがあるようです。 そういった中で、九州古代史の会と言うグループに属する言ってみればアマ…

「嗜好品の文化人類学」高田公理、栗田靖之、CDI編

嗜好品とは栄養のために摂取する食品ではなく、贅沢・余裕のために取られるもので、酒・茶・タバコなどのものが含まれます。 それらの世界各国の民族での状況を詳しく調べられたものです。 もちろん、食品との境界はあいまいで、社会状況によって揺れ動きま…

「フィンランドはもう”学力”の先を行っている」福田誠治著

フィンランドなど北欧は学力の国際比較でも上位を占めているということで注目されていますが、その実態はあまり紹介されていないようです。 教育学者で北欧の教育事情にも詳しい都留文科大学の福田先生が実情の詳細を紹介したものです。フィンランドでは職業…

「これが九州方言の底力」九州方言研究会編

九州方言研究会というのは九州各地の大学の研究者が集まってまとめたもので、よくあるような興味本位の珍しい方言を羅列したというものではなく、かなり基礎的なものや語源解析まで含み、また九州各地の同じ語意の言葉の比較など、相当詳しい内容のものです。…

「変な給食」幕内秀夫著

昭和30年代に小学校生活を送った身としては給食と言うのは非常に不味いもので、飲み込むのも辛いということが多かったものでした。しかも当時は絶対残させないと言う教育方針であったのか、全部食べるまでは許さないと言う先生の態度でした。最近の給食とい…

「花のパロディ大全集」丸谷才一・井上ひさし選

かなり古い本の再読です。週刊朝日の企画で1974年から78年までに元文章を指定してパロディを募集し選者の選考で当選作を決めて掲載したものをまとめて本にしたと言うもので、84年に出版されています。 元になる文章は百人一首や雨ニモマケズ、草枕、二条河原…

「セミたちと温暖化」日高敏隆著

動物行動学者で京都大学名誉教授であった日高先生のエッセイ集です。いろいろな動物や昆虫の各種の行動がどのような意味があるのか、本当に幅広く興味を示されているのには驚きます。 春になり、動き出した虫を捕らえて食べる鳥はだんだんと日が長くなること…

「いまどきの”常識”」香山リカ著

高度成長期から記憶にある世代としては、バブル期を経てその後の不況期をたどる中で以前とは雰囲気が変わってしまったという感覚を強く持ちます。 香山さんはその点を次々と並べていきます。 それらは一時代前には言えなかったことであっても現在ではかえっ…

「勉強のチカラ!」斎藤孝著

教育学が専門で明治大学文学部の教授であり、小学生の塾も開講している斎藤さんが学校での勉強をすることがいかに役に立つかということを解説されている本です。 前に述べた尾木先生の著書での現在の受験勉強が役に立たないという主張とは反対のようですが、…

エネルギー文明論「オイルピーク説」

現代のエネルギー依存文明というものが生物としての人間の状態をゆがめ、石油石炭の化石燃料に依存して過大な人口を抱えてしまって危険な域に入ってしまったと言うことをこれまでに述べてきました。 それでも未来永劫にエネルギー供給が続くものであればそれ…

「”全国学力テスト”はなぜダメなのか」尾木直樹著

2009年に書かれた全国学力テストに関する本ですが、その後の状況に詳しくありませんので、どのようになっているか判然とはしていません。 国際的な学力比較というものが問題となり、大学などでの学力低下が言われる中で、学力競争をさせるというものを隠れた…

「フリーランス個人事業主のための確定申告」ところ会計事務所監修、「独立・起業の基本と常識」高橋敏則著

30数年会社勤めをしてきましたが、総務・経理部門は全く知りませんでしたので、こういった方面の知識はほとんどありませんでした。税金に関わることなども年末調整を提出する時だけで全部会社任せでやってきました。 昨年会社を辞めてそろそろ自営で何か仕…

エネルギー文明論「最高に恵まれたエネルギー」

過度のエネルギー依存により、現在の人類は過大な人口膨張を起こしてしまい、エネルギーの状況に何らかの問題が生じると怖ろしい事態になるということを前回の記事の中で書きました。 なぜこのようなことになったのかと思えば、それはあまりにも石油・石炭な…

「常用漢字の事件簿」円満字二郎著

字典編集に携わってきた円満字さんが1979年以降の漢字をめぐる世相の数々を取り上げたものです。 1979年に常用漢字表というものを国語審議会が文部大臣に答申しました。これは戦後すぐに作られた当用漢字の見直しをしたものですが、それまでの社会の流れとま…

「龍鳳のくに」陳舜臣著

陳舜臣さんは神戸で生まれ、日本の教育を受けていますがエッセイで書かれているように御祖父さんから中国の教育も施されているため日中両方の文化に通じておられます。 そのような陳さんのエッセイ集ですが、第2部以降は他のところで発表されたものを集めた…

「剣客商売読本」池波正太郎ほか著

この本も図書館の本ではありませんが、買ったものでもなく、亡父の遺品です。 6年前に亡くなった父親ですが、最後まで読んでいた本を貰ってきました。購入した日付が裏表紙に黒々と書いてあり、またしおりを使わなかった人なのであちこちにページを折った跡…